現役ペットショップ店長、のあちです。
ペットショップでサイベリアンのお迎えを検討される方へ、「サイベリアンは猫アレルギーも出にくいし、安心ですよ!」などと案内をしているスタッフが多く見られますし、そう聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
結論から言いますと、「まぁ、他の猫種よりは出にくいんじゃない?」という感じになります。「猫アレルギーの人でもサイベリアンは飼える!絶対大丈夫!」では決してありません。猫アレルギー以外にも「頭が良い」「賢い」などサイベリアンの特徴を深掘りしていきます。
猫アレルギーの正体
猫アレルギーの原因
主な猫アレルギーの原因は唾液や尿、皮膚(フケ)に含まれているタンパク質です。このタンパク質には「Fel d1」「Fel d2」「Fel d3」「Fel d4」など物質が含まれていますが、この中で「Fel d1」と「Fel d4」という物質に猫アレルギーの反応が出ます。
猫がトイレで排泄をしたら尿に含まれている「Fel d1」が空気中に舞い上がり、毛繕いをしたら唾液の中にある「Fel d1」が被毛や皮膚に付着してその毛が空気中を漂う。それを人が呼吸をするたびに身体に入ることで発症します。
犬アレルギーとの違い
犬アレルギーも猫アレルギー同様に唾液や皮膚(フケ)からの分泌物にアレルゲンが存在しています。しかし、犬アレルギーは「Can f1」という物質が犬アレルギーの主要アレルゲンとなるため、猫アレルギーとはまったく異なるものになります。
つまり、猫アレルギーの人は必ずしも犬アレルギーではない、ということになります。統計では犬アレルギーの人より猫アレルギーの人の方が多いそうです。
猫アレルギーの症状
猫アレルギーの場合を発症してしまった場合は以下のような症状が見られます。
・目 :充血、かゆみ、涙が出る
・鼻 :鼻水、くしゃみ、鼻づまり
・のど:咳、痛み、喘息、かゆみ、息苦しさ
・皮膚:かゆみ、湿疹、じんましん
猫アレルギーでもサイベリアンなら大丈夫!?
所持しているアレルゲンが少ない
猫アレルギーのアレルゲン物質である「Fel d1」というタンパク質を様々な猫の唾液で調査したところ、サイベリアンの数値が他の猫より低い結果となったため、「サイベリアンは猫アレルギーの人でも大丈夫」「サイベリアンは猫アレルギーを起こしずらい」と言われるようになりました。
しかし、この調査はアメリカのサイベリアンを調査したデータの結果になるので、日本で繁殖されているサイベリアンは血統的に異なる結果が出る可能性もあります。
「絶対に大丈夫」ではない
同じサイベリアンという猫種でも個体によって持っている「Fel d1」の量は違うので、「サイベリアンだから絶対に猫アレルギーが出ない」というわけではありません。
そして、このアレルギー物質は「オス」より「メス」の方が持っている量が少ないとされていて、さらに薄いカラーの毛色の方が持っているアレルギー物質は少ないとされています。
しかし、これも何度も言いますが「サイベリアンだからって絶対大丈夫」ではありません。そして、日本人で最も多いアレルギーである花粉症のように、「今まで大丈夫だったけどある日突然猫アレルギーになってしまった」という可能性もあるので注意が必要です。
猫アレルギーの人が猫を飼うとき
空気清浄機で綺麗な部屋を維持する
トイレや毛繕いをしたあとに空気中に舞い散っている抜け毛やフケを減らし、アレルギーの反応が出にくい環境にすることが可能な空気清浄機やロボット掃除機をセットしておけば効果的です。
また、抜け毛が舞い散る前にグルーミングを行なってあらかじめ取ってしまうこともオススメです。もちろん、グルーミングを行なう際はマスクと手袋はした方がいいでしょう。
スチームクリーナーで布製品を洗う
猫の毛が付着するととても取りづらく掃除しづらいソファやベッドなどの布の製品はスチームスリーナーを使用すると掃除しやすくなります。定期的に布団カバーやシーツ、ソファのカバーを洗濯することもオススメです。
猫砂の取換え頻度を増やして綺麗を保つ
アレルゲンである「Fel d1」というタンパク質は尿にも含まれています。トイレの砂はずっと同じものを使用しているとアレルゲン物質の巣窟になり、より多くアレルゲン物質が空気中に舞い散ることになるため、猫砂の交換頻度を増やして綺麗な状態を保ちましょう。
ミストスプレーと手洗いの徹底
ソファやベッド、カーテンなど気になる箇所にミストスプレーを噴霧し、アレルゲン物質をガードしましょう。また、猫を触ったあとには手を洗うようにしましょう。猫を触ったあとに洗濯物に触るなどは避けた方が良いでしょう。
サイベリアンの特徴や性格
長毛でモフモフな被毛
サイベリアンは元々ロシア東部で誕生し猫で、「シベリア」を意味しています。1000年ほど前から存在すると言われるほど歴史も長い猫です。シベリアはご存知の通りとても寒い地域のため、厳しい寒さから自分を守るために毛量が多い、ふさふさの被毛になったそうです。
それほど運動量は多くない
大型猫種に分類されているのでそれほど運動量は多くありません。しかし、いろいろなことに興味を持ち、活動的な一面もあります。基本的には落ち着いた性格で鳴くことは少なく、水に苦手意識がない珍しい猫種です。
しつけも可能なほど頭が良い
あまりにも「サイベリアン=猫アレルギーでも飼える」と紐づけられているので忘れがちですが、サイベリアンはお座りやお手など簡単な芸を覚えるほど知能がとても高い猫種です。
お座りなどの芸はともかく、入ってはいけないスペースや乗ってはいけない場所などを教えやすいでしょう。
まとめ
アレルゲン物質「Fel d1」の分泌量が他の猫よりサイベリアンが少ないため、「猫アレルギーの人でもサイベリアンなら飼える」と認識されています。しかそ、「サイベリアンなら絶対大丈夫」なわけではありませんし、「そもそもそのデータは日本でも当てはまるかわからない」というものです。
しかし、100%大丈夫だとは言わないまでも、他の猫種より「猫アレルギーでも飼える可能性が高い」ということになります。