現役ペットショップ店長、のあちです。
今回はミヌエットについて深堀りしていこうと思うのですが、実はミヌエットはいろいろと謎めいたことが多い猫なのです。
と言うのも、このミヌエットをGoogleで検索すると第二検索ワードに「かわいそう」が上位に表示されます。
短足マンチカンや折れ耳スコティッシュが「かわいそう」と言われるのは個人的にとても理解できます。(詳しくは別記事にしてみようかと思います。)
ミヌエットも本当に「かわいそうな猫」なのでしょうか?
ミヌエットが「かわいそう」だと言われる理由
そもそもミヌエットは、足が短いことで人気があるマンチカンとペルシャ系猫(ペルシャ、エキゾチックショートヘア、チンチラ、ヒマラヤン)が交配したハイブリッドとして1996年に誕生した、まだ歴史が浅い猫種です。
ミヌエットは、マンチカンとの交配で生まれていることが「かわいそう」と言われている所以になります。
それではなぜ、「マンチカンとの交配」がかわいそうになるのでしょうか。
それは足の短いマンチカンが、実はもともと突然変異によって生まれたものだからです。突然変異として誕生したのだから、かつては「健康上問題がある」や「遺伝子疾患がある」と位置付けられました。
しかし、足が短くてかわいい猫の方が高値で販売できることもあり、敢えて近親配合をして『短足で可愛いマンチカン』を人為的に作る営利目的のブリーダーが増えました。その結果、極度の奇形や、出産後に亡くなってしまうなど、多くの悲しい事故が生まれました。
しかし、時代が経過し、「足が短くても健康上問題はない」と証明されました。
マンチカンについては別記事にします♬
健康上問題ないと証明された現代でも「金儲けのために作り出されたマンチカンはもちろんかわいそうだし、その子どもにあたるミヌエットもかわいそう」ということになるのです。
ミヌエット誕生の理由
1995年、足が長くなってしまったマンチカンが捨てられ、保護センターに多く収容されていることを知ったジョセフというアメリカ人が、収容された猫がマンチカンであったかは不確実だったものの『「足が長くなったから捨てられる」ということがあってはならない』と考えて、短足猫の固定化を試みるために人気猫種でもあるペルシャをマンチカンと交配させました。さらにその子猫をエキゾチックショートヘアなどのペルシャ系の長毛猫と掛け合わせて誕生したのがナポレオンです。
ミヌエットはもともと「ナポレオン」という名前だったのが、2015年に「ミヌエット」に改名されました。
短足猫の固定化って、なんかちょっと…ね
ナポレオンからミヌエットへの改名
足が短い猫として固定化させるためにナポレオン(ミヌエット)を作り出そうとしたわけですが、それから20年近く経った今でも「短足猫の固定化」は出来ていません。実際、マンチカンの80%ほどは足が短くありません。
世界中の多くの血統書認定団体ではミヌエットはもちろん、マンチカンでさえも現在でも猫種として認定されていません。
ナポレオンと名付けられた「マンチカンとペルシャ系猫」のハイブリッド猫ですが、なぜ「ナポレオン」という名前から「ミヌエット」に改名されたのでしょうか。
そもそも、ナポレオンという名前は、フランス皇帝でも有名なナポレオン・ボナパルトにちなんで付けられました。そして、皇帝ナポレオンは短足で身長が低いとされていました。しかし、「皇帝の名前を猫につけるのはいかがなものか」「失礼だ」などという声がありミヌエットに改名されました。
英語で表記すると「Minuet」となります。17~18世紀にヨーロッパで流行した舞踏の名称を取り、これが品種名になりました。
皇帝の名前から舞踏の名前へ…。
ミヌエットになる掛け合わせ
ほとんどの血統書認定団体ではミヌエットは正式な猫種として認定されていませんが、ミヌエットを血統書認定しているJCC、ACC、ZCCなどの血統書認定団体では以下の組み合わせが「ミヌエット」として認定されます。
- マンチカン × ペルシャ
- マンチカン × エキゾチックショートヘア
- マンチカン × ミヌエット
- ミヌエット × ミヌエット
- ミヌエット × エキゾチックショートヘア
- ミヌエット × ペルシャ
ですので、ミヌエットに子どもを産ませたい場合に交配可能な猫種は、
- ミヌエット
- マンチカン
- ペルシャ
- エキゾチックショートヘア
となります。
ミヌエット×エキゾチック=ミヌエット
マンチカン×ペルシャ=ミヌエット
なんか不思議…
ミヌエットの性格や特徴
マンチカンとペルシャ、両者の性格を受け継いだのがミヌエットです。
甘えることが好きな甘えん坊のペルシャと、遊ぶことが好きで好奇心旺盛なマンチカンを受け継いでいるので、家族が大好きで構って欲しいときは寄ってきますが、構って欲しくないときには素っ気ない態度をしてくるような猫っぽい気分屋な一面を見せます。
いろんなものに興味を持つので、おもちゃはたくさん用意してあげると喜びます。甘えることも好きなので、飼い主がおもちゃで遊んであげることで深い信頼関係が築けるようになるでしょう。
甘えてくれるの嬉しいね♬
飼育するうえでのポイント
病気は掛かりづらい
基本的には混血種(ハイブリッド種)なので、病気には掛かりづらい傾向にあります。しかし、ミヌエット同士の掛け合わせだったり、短足猫が先祖にいる場合などで多少の個体差はあります。
そんな場合にお勧めできるのが、遺伝子検査です。
定期検診をすることで病気の早期発見にも繋がりますが、将来かかるかもしれない病気のリスクの発見はとても難しいと言われています。病気には「環境」と「遺伝」が大きく関与してくるため、遺伝子検査を行なうことで「遺伝性疾患」を知ることができ、これが病気の予防の第一歩です。
実際に遺伝子検査をしてみよう
定期検診は病気を早期発見するためにとても大事ですが、将来にわたる病気のリスクは定期検診からは判定できません。
海外では、検診と同じくらい気軽にねこちゃんの遺伝子検査が広がっています。ぜひ、ねこちゃんと末永く暮らす将来のために、遺伝子検査をしませんか?
「明日の病気はわからなくても
10年後の病気はわかるかもしれない」
ってなんかすごい!
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肥満に注意
腰に負担が掛かるので、肥満には気を付けなければいけません。必要以上のおやつや、人の食べ物は与えないなど注意が必要です。適正な体重を維持しましょう。
抜け毛は多め
ミヌエットにはショートヘアとロングヘアの2種類の被毛があります。どちらもダブルコート(被毛がオーバーコートとアンダーコートの二重構造)になっているので、抜け毛は多めになります。毛質も柔らかいのでブラッシングなどのお手入れも必要になります。
暑さ対策は必須
猫はロングヘアの場合は基本的に暑がりで、熱中症にもかかりやすくなるので注意が必要です。
快適な温度で過ごせるように室温計などで室温にも気を配ってください。夏はクーラーを使うなど暑さ対策は必須となります。冬は暖房で暖めて欲しいですが、暖めすぎてしまわないように注意してください。
人が暑くない、寒くない温度が猫にとっても快適です!
まとめ
ミヌエットは本当に可哀想なのか?皆さんはどう思われましたか?
あくまで個人的な意見にはなりますが、『ミヌエットは可哀想ではない』と思っています。
かわいいマンチカンに子どもを産ませたい場合、マンチカン同士の交配よりペルシャ系猫との交配の方がリスクは少ないでしょう。なので、冒頭にも書きましたが、「短足マンチカンや折れ耳スコティッシュ」の方が「かわいそう」と思えてしまいます。「スコマンチ」なんて論外です。
ですが、非難されるべきは悪徳ブリーダーです。産まれてきたミヌエットやマンチカン、スコティッシュに非はありません。精一杯可愛がってあげてください。
もし、これからペットショップでミヌエットのお迎えを考えている方がいたら、『両親の組み合わせ』、『親マンチカンが短足か短足ではないか』や『どこのブリーダー出身か』など分かる範囲で情報を聞いてみるのもいいかもしれません。