現役ペットショップ店長、のあちです。
「うちの猫、最近ちょっと臭うかも?」や「長毛種だから洗ってあげたいけど、嫌がって無理!」などと悩んだことはありませんか?
実は、猫ちゃんにとってシャンプーは「自分の匂いが消えてしまう」という大きなストレスを伴うものです。実際、多くのトリミングサロンでも猫のシャンプーはお断りしているのが現状です。
店長という立場としての結論を言うと、猫に定期的なシャンプーは「基本、不要」です。
でも、長毛種のケアや皮膚トラブルなど、「どうしても洗わなければならない時」があるのも事実です。
この記事では、無理強いせずに清潔を守るプロの判断基準と、お風呂嫌いな子でも安心な厳選アイテムを店長目線で徹底解説します。
猫が毛づくろいをする理由
猫が一生懸命毛づくろい(グルーミング)をしている姿は、見ていて癒されますよね。でも、あれはただ「綺麗にしているだけ」ではないんです。
店長としてお客様にお話しする際も、「猫にとっての毛づくろいは、人間でいうお風呂とスキンケアとリラックスタイムを兼ねているんですよ」とお伝えしています。
セルフグルーミングの場合
天然のブラシ効果
猫の舌にあるザラザラした突起は、まさに「高性能な天然ブラシ」です。 この突起がクシとなって抜け毛や汚れを絡め取り、シャンプーなしでも清潔を保ちます。
さらに、皮膚を刺激して血行を良くしたり、皮脂を広げてツヤを出したりする効果もあります。猫ちゃんが毎日ピカピカなのは、この優れた機能のおかげなんです。
体温の調節
猫は人間のように汗をかいて体温を下げることが苦手です。そこで活躍するのが毛づくろいです。
唾液を体に塗り、それが蒸発するときの「気化熱」を利用して、こもった熱を逃がしています。暑い日に念入りに舐めているのは、体を冷やすための大切な知恵なのです。
心の鎮静効果
猫は緊張したり、失敗して気まずい思いをしたりした時にも、急に毛づくろいを始めます。
これを「転位行動」と呼び、舐めるリズムで高ぶった神経を鎮め、自分自身をリラックスさせているのです。猫にとっての毛づくろいは、心のバランスを整える安定剤でもあります。
健康のバロメーター
毛づくろいの頻度は、健康状態を映す鏡です。
「特定の場所ばかり執拗に舐める」場合は皮膚炎や痛みのサイン、「全くしなくなった」場合は体調不良や口内トラブルの可能性があります。
毎日の変化にいち早く気づけるのは、一番近くにいる飼い主さんだけです。
複数でお互い毛づくろい(アログルーミング)をする場合
愛情表現、信頼の証
仲の良い猫同士が舐め合うのは、親愛の情と深い信頼の証です。
急所である体を相手に委ねるこの行為は、言葉以上に「大好きだよ」「心を許しているよ」というメッセージを伝えています。
特に兄弟や長く連れ添ったパートナー同士で見られる、最高のアピールなのです。
優位性の確認
実は、立場が上の猫が下の猫を舐めることで、自分の優位性や「守ってやるぞ」という地位を示していることもあります。
これは群れのルールを確認し、無駄な争いを避けるための大切なコミュニケーションです。舐められる側がそれを受け入れることで、猫社会の平和が保たれているのです。
猫にシャンプーは必要ないと言われる理由
「猫を飼い始めたら、定期的にお風呂に入れるのが当たり前」と思っていませんか?
実は、ペットショップ店長としての私の結論は「健康な室内飼いの猫なら、基本的にシャンプーは不要」です。
むしろ、良かれと思って無理に洗ってしまうことが、猫ちゃんの体や心にダメージを与えてしまうケースも少なくありません。
なぜ、プロの現場でも「シャンプーはしなくていい」と言われるのか。そこには猫特有の3つの大きな理由があります。
「天然ブラシ」でセルフグルーミングしているから
猫の舌には「糸状乳頭」という突起があり、これが高性能なブラシの役割を果たしています。
店長として多くの子を見てきましたが、猫は一日の大半を毛づくろいに費やすほどの「綺麗好き」です。
このセルフグルーミングだけで、汚れや抜け毛を効率よく落とし、被毛の清潔を完璧に保つことができます。
つまり、人間がわざわざお風呂に入れなくても、毎日自分で「最高のトリートメント」を済ませているんです。
「皮膚のバリア」を守るため
猫の皮膚は人間の約3分の1ほどの厚さしかなく、非常にデリケートです。被毛を覆う適度な皮脂は、乾燥や細菌から皮膚を守る「天然のバリア」の役割を果たしています。
その中で特にお伝えしたいのは、過度なシャンプーはこの大切なバリアをごっそり落としてしまうということ。
皮脂を失った皮膚はカサカサになり、逆にかゆみや炎症などのトラブルを引き起こす原因にもなるため、洗いすぎには注意が必要なのです。
自分の「匂い」が消えるストレス
猫にとって自分の匂いが消えることは、大きな不安に繋がります。
シャンプーは「水への恐怖」だけでなく、せっかく付けた自分の匂いが消え、洗剤の強い香りに上書きされるダブルのストレスになるのです。
猫にシャンプーは必要だと言われる理由
「基本は不要」とお伝えしましたが、実は店長である私も「この場合はすぐに洗ってあげて!」とアドバイスするケースがいくつかあります。
それは、放っておくと猫ちゃんが痛い思いをしたり、病気が悪化したりする可能性があるときです。特に長毛種の子や、特定の皮膚トラブルを抱えている子にとって、シャンプーは「美容」ではなく大切な「医療・ケア」になります。
具体的にどんなケースでシャンプーが必要になるのか、プロの判断基準を解説します。
短毛と長毛で違うシャンプーの必要性
そもそも猫のシャンプーの必要性は、短毛種と長毛種で異なる場合があります。これから短毛種と長毛種に焦点を当てた違いを説明します。
短毛種の猫
定期的なシャンプーはほぼ不要
短毛の猫ちゃんは、自慢の「天然ブラシ」で全身のケアがほぼ完璧にこなせます。汚れが奥まで入り込みにくく、毛玉の心配もほとんどありません。
店長としても、ひどい泥汚れや油分がついた時以外は、無理に洗わずブラッシングだけで十分清潔を保てると考えています。猫ちゃんのストレスを優先してあげましょう。
長毛種の猫
定期的なシャンプーが必要
長毛種は毛が絡まりやすく、一度毛玉になると皮膚が引っ張られて痛みや炎症の原因になります。
また、おしり周りが汚れやすいのも悩みどころです。ブラッシングは必須ですが、手に負えない汚れや毛玉予備軍が増えてきたら、「定期的なシャンプー」をおすすめします。
皮膚トラブルの場合はシャンプー必須
もし愛猫に皮膚の赤み、強いかゆみ、フケ、または「真菌(カビ)」などのトラブルが見られる場合、シャンプーの役割はガラリと変わります。
この時、シャンプーは単なる汚れ落としではなく、症状を改善させるための「治療」という位置づけになるからです。
店長として特に知っておいていただきたい、大切なポイントが3つあります。

皮膚トラブルは獣医師の指示を仰ぐ
皮膚トラブルには、細菌、真菌、アレルギー、寄生虫など様々な原因があります。原因に合わないシャンプーを使うと、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。
まずは動物病院を受診し、獣医師から「どのタイプの薬用シャンプーを、どのくらいの頻度で使うか」の指示をもらうことが、完治への一番の近道です。
「薬用成分」を浸透させる特別な洗い方
通常のシャンプーはすぐに流しますが、薬用シャンプー(ノルバサンなど)の場合は、泡立てた状態で数分間放置し、成分をしっかり皮膚に浸透させる必要があります。
この「待ち時間」が猫ちゃんにとってはストレスになりやすいため、浴室を温めたり、優しく声をかけたりして、少しでもリラックスできる工夫をしてあげましょう。
「しっかり乾かす」までが治療です
薬用シャンプーの後は、皮膚がとてもデリケートになっています。生乾きの状態は菌の繁殖を招き、逆効果になることもあります。薬用シャンプーの後はいつも以上に「根元からしっかりと、かつ低温で優しく」乾かすことが重要です。

ココがポイント!
皮膚トラブル時のシャンプーで大切なのは、「独断で進めないこと」です。
- まずは病院で原因を特定。薬用シャンプーは「薬」と同じです。
- 成分を浸透させる「5〜10分の放置」が効き目のカギ!
- 湿気は菌の大好物。皮膚の根元までしっかり乾かしましょう。
失敗しない猫用シャンプーの選び方
お店で「どのシャンプーがいいですか?」と聞かれたとき、私が必ずチェックするポイントは3つあります。
猫ちゃんの肌は私たちが思っている以上にデリケートです。適当に選んでしまうと、皮膚トラブルの原因になることもあるので注意が必要です。
「猫専用」かつ「低刺激・アミノ酸系」を選ぶ
まず大前提として、人間用のシャンプーは絶対に使わないでください。
人間と猫では皮膚のpH(ペーハー)値が異なるため、人間用では洗浄力が強すぎて猫の皮膚を傷めてしまいます。
選ぶなら、洗浄力が穏やかな「アミノ酸系」や、万が一舐めてしまっても安心な「天然由来成分」の猫専用シャンプーがベストです。
「無香料」または「微香性」を優先
先ほどお話しした通り、猫は「自分の匂い」をとても大切にする動物です。
人間にとっての「いい香り」も、嗅覚の鋭い猫にとっては強烈なストレスや体調不良の原因になることがあります。
私としては、できるだけ香りの残らないタイプや、猫が嫌がりにくいほのかなハーブの香りのものをおすすめしています。
「目的」に合わせて選ぶ
「とにかくフワフワにしたい」「汚れをしっかり落としたい」「皮膚が弱い」など、その子によって使用するシャンプーは異なります。
長毛種の猫
毛玉を防ぐため、コンディショニング成分配合の「仕上がり重視」タイプ
皮膚がデリケートな猫
低刺激にこだわった「保湿重視」タイプ
お風呂が嫌いな猫
洗い流し不要でストレスを最小限にする「ドライシャンプー(泡・シート)」タイプ
このように、「愛猫の性格と毛質」に合わせて選んであげるのが、失敗しないコツです。

ココがポイント!
初めてシャンプーを買うなら、まずは「低刺激な泡タイプ」がおすすめです。
泡立てる手間が必要ないので、シャンプー時間をグッと短縮できます。お風呂嫌いな猫ちゃんにとっては、「いかに短時間で終わらせるか」が最大のコツなのです。
おすすめの猫用シャンプー
A.P.D.C. 猫用プロフェッショナル クレンジングシャンプー
「おうちでもサロン帰りのような手触りにしたい!」という飼い主さんに、私が一番におすすめするのがこれです。
仕上がりのフワフワ感に感動!
とにかく仕上がりの毛並みが違います。
長毛種の子はもちろん、短毛種の子も驚くほどフワフワ、サラサラに。植物成分主体で、皮膚への優しさと高い洗浄力を両立させているのがプロに愛される理由です。
少しお値段は高めですが、その価値は十分にあります。まずはここから試せば間違いありません。
ノルバサンシャンプー 0.5
動物病院でも処方されることが多く、私としても絶大な信頼を置いている薬用シャンプーです。
皮膚トラブルの強い味方!
殺菌・消炎効果があり、皮膚のベタつき、ニオイ、カビ(真菌)などのトラブルを抱える子の必須アイテム。
コンディショナー入りなので、これ一本で皮膚ケアと毛並みのケアが同時にできるのも嬉しいポイントです。
「治療」が目的のシャンプーなので、健康な子に常用するのではなく、皮膚の状態に合わせて使ってあげてください。
らくらくシャンプータオル
1枚30×20cmの使いやすいサイズで25枚入り。外出時やアウトドアでの使用に最適です。
水嫌いな子におすすめ!
最大の魅力は、特殊な「溝付きメッシュシート」。表面のデコボコが、猫ちゃんの細かい被毛の間に入り込んだ抜け毛や花粉、ホコリをしっかりキャッチしてくれます。
アロマの香りでニオイをリフレッシュしつつ、ヒアルロン酸配合で皮膚の潤いも守ってくれる優れもの。
丸洗いのような「地肌までの洗浄力」はありません。あくまで日々のメンテナンスや、部分的な汚れ落としとして活用するのがコツです。
猫がパニックにならないシャンプーの5ステップ
「お風呂=戦い」になっている飼い主さんも多いはず。
でも、ちょっとしたコツで猫ちゃんの恐怖心はグッと減らせます。店長の私がお店でも実践している、猫に優しい5ステップをご紹介します。

ステップ1:事前のブラッシングが「成功のカギ」
濡らす前に、必ず全身をブラッシングして抜け毛や毛玉を取り除きましょう。

ココがポイント!
実は、濡れた毛玉はカチカチに固まってしまい、後からでは絶対に解けません。
そうなるとハサミで切るしかなくなるので、事前のブラッシングは絶対にサボらないでくださいね!
ステップ2:お湯は「38度のぬるま湯」と「シャワー密着」
お湯の温度は、人間が「少しぬるいかな?」と感じる38度前後がベストです。

ココがポイント!
猫は大きな音が大嫌いです。
シャワーヘッドを皮膚にピタッと密着させて流すと、音が静かになり、水しぶきも飛ばないので猫ちゃんが驚きにくくなります。
ステップ3:足元からゆっくり「心の準備」をさせる
いきなり背中にシャワーをかけるのはNGです。まずは後ろ足の先から、少しずつお湯を当てて慣らしてあげましょう。

ココがポイント!
「今からお風呂だよ〜」と優しく声をかけながら、ゆっくりと進めてください。
顔周りは最後に、スポンジや濡らしたガーゼで拭う程度にするのがパニックを防ぐコツです。
ステップ4:すすぎは「これでもか!」というくらい念入りに
シャンプー剤が残っていると、皮膚トラブルの原因になるだけでなく、猫が自分で舐めて体に入れてしまいます。

ココがポイント!
「もう流れたかな?」と思うくらいでは、まだ足りません。脇の下や指の間など、泡が残りやすい場所を特に入念にチェックしましょう。
ステップ5:ドライヤーを最短にする「タオル3枚」作戦
お風呂上がりのドライヤーを嫌がる子はとても多いです。

ココがポイント!
ドライヤーの時間を短くするには、とにかくタオルドライが肝心。
贅沢にタオルを3枚くらい使って、水分を徹底的に吸い取ってください。これだけで、猫ちゃんが一番嫌がるドライヤーの時間を半分に短縮できます。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます。猫ちゃんのシャンプーについて、「絶対にやらなきゃ!」というプレッシャーは少し軽くなりましたか?
最後にお伝えしたいのは、「シャンプーが必要かどうかは、その子のペースと健康状態が一番の基準」だということです。
短毛の子なら、日々の毛づくろい(セルフグルーミング)を信じて見守ってあげれば十分。長毛の子や皮膚トラブルがある子なら、今回ご紹介したような「治療」や「特別なケア」として、優しくサポートしてあげてください。
飼い主さんが愛猫をよく観察し、その子に合ったスタイルを選んであげることが、猫ちゃんにとって一番の幸せです。
もし「うちの子、お留守番中に体を痒がったり、一生懸命毛づくろいしすぎたりしてないかな?」と心配になったら、ペットカメラを活用してこっそり普段の様子を覗いてみるのもおすすめです。

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