【店長解説】猫の異種交配完全ガイド!ミヌエットやラガマフィン、ヒマラヤンも異種配合から誕生!

ねこのハナシ

ペットショップ店長、のあちです。今回は猫種、特に異種交配について深堀していこうと思います。

知ってましたか?ブリティッシュショートヘアとマンチカンの交配で生まれた猫は「マンチカン」になり、マンチカンとペルシャの両親から生まれた猫は「ミヌエット」という猫種になります。

さらにいえば、アメリカンショートヘアとマンチカンのこどもは「マンチカン」で、アメリカンショートヘアとブリティッシュショートヘアのこどもは「MIX(雑種)」になります。

このあたりが猫種について、異種交配について複雑で混乱しやすい部分になります。

猫の異種交配は、新しい品種を生み出す一方で、遺伝的な問題や倫理的な問題も存在しています。この記事では、猫の異種交配について、メリット・デメリットを深く掘り下げます。

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猫の異種交配とは

猫の異種交配とは、異なる種類の猫種同士を掛け合わせることを指します。例えば、マンチカンとペルシャを掛け合わせると、ミヌエットという猫種になります。

犬の場合、例えばマルチーズとトイプードルを掛け合わせると「マルプー」と、両親犬種の一部を取って呼ばれていますが、猫の場合はまったく別の呼称になるわけです。

猫の異種交配の歴史と背景

異種交配の歴史

猫の品種改良は、古代エジプトの時代から行われていたと言われています。特定の特性を持つ猫を固定化するために新しい品種を生み出すことが目的でした。異種交配は、この品種改良の一つの手法です。

  • 古代エジプト:特定の毛色や体型の猫を神聖視し、崇拝のために品種改良が行われていたと考えられています。
  • 中世ヨーロッパ:中世ヨーロッパでは、ネズミ捕り能力の高い猫が求められ、実用的な目的で品種改良が行われていました。
  • 近代:近代になると、猫展が開催されるようになり、ショーで評価されるような美しい外見を持つ猫の品種改良が盛んになりました。

異種交配が本格的に注目されるようになったのは、20世紀に入ってからです。異なる品種の優れた特徴を組み合わせることで、より魅力的な新しい品種を生み出すことが可能となり、多くの新しい猫種が誕生しました。

異種交配の背景

異種交配が行われる背景には、主に以下のような理由が考えられます。

  • 新しい品種をつくる:異なる品種の優れた特徴を組み合わせることで、今までにない魅力的な品種を生み出すことができます。
  • 遺伝的多様性:遺伝的多様性を高めることで、病気や環境変化に対する耐性の向上や遺伝病のリスクを軽減し、より健康な猫を誕生させることができます。
  • 保護と保存:絶滅の危機に瀕している猫種を保存するために、異種交配が利用されることもあります。これにより、将来的に絶滅してしまうことを防ぐことができます。
  • 経済的な価値:希少な品種の誕生は、経済的な価値を生み出す可能性があります。一方でこの部分で否定的な意見があるのも事実です。

異種交配の目的

異種交配の目的は、品種によって様々ですが、一般的には以下の点が挙げられます。

  • 特徴的な身体の固定化短足、長毛、特定の毛色など、特定の身体的特徴を固定化したい場合に行われます。
  • 性格の改良:穏やかで人懐こい、活発で好奇心旺盛など、特定の性格やより理想的な性格を持つ猫を誕生させたい場合に行われます。
  • 遺伝病の予防:遺伝病の原因となる遺伝子を薄めることで、遺伝病のリスクを軽減させ病気や環境変化に対する耐性が向上します。
  • 新しい猫種の開発:異種交配は、新しい猫種を開発するためにも利用されます。これにより、ユニークな外見や性格を持つ猫が誕生します。この部分において否定的な意見も多く見られます。

異種交配で生まれた有名な猫種

マンチカンとペルシャ系猫の異種交配で誕生したミヌエットは有名ですが、それ以外にも有名な猫種はいます。ここでは異種交配で生まれた有名な猫種を挙げてみたいと思います。

  • ミヌエット・・・マンチカン×ペルシャ系
  • ヒマラヤン・・・シャム×ペルシャ
  • ラガマフィン・・・ラグドール×ペルシャ
  • キンカロー・・・マンチカン×アメリカンカール
  • ジェネッタ・・・マンチカン×ベンガル
  • トンキニーズ・・・バーミーズ×シャム

異種交配が可能な猫種

交配可能一覧

血統書団体に登録可能な異種交配の組み合わせはいくつかあります。逆に言えば、これ以外の猫種との組み合わせはミックス(雑種)になります。一部の有名な猫種について羅列してみます。

※血統書団体によって登録の可否が異なります。

スコティッシュフォールド
  • スコティッシュフォールド×アメリカンショートヘア
  • スコティッシュフォールド×ブリティッシュショートヘア(ロングヘア)
  • スコティッシュフォールド×スコティッシュストレート
マンチカン
  • マンチカン×ブリティッシュショートヘア(ロングヘア)
  • マンチカン×アメリカンショートヘア
  • マンチカン×エキゾチック
  • マンチカン×ペルシャ
  • マンチカン×ベンガル
  • マンチカン×ロシアンブルー
ミヌエット
  • ミヌエット×エキゾチック
  • ミヌエット×ペルシャ
  • ミヌエット×マンチカン
  • マンチカン×エキゾチック
  • マンチカン×ペルシャ
ブリティッシュショートヘア
  • ブリティッシュショートヘア×ブリティッシュロングヘア
キンカロー
  • キンカロー×マンチカン
  • キンカロー×アメリカンカール
  • マンチカン×アメリカンカール

上記以外の異種交配について

血統書とは、その猫が純粋な品種であることを証明する書類です。血統書団体は、純血種同士の交配によって生まれた子猫にのみ血統書を発行します。

異種交配とは、異なる品種の猫同士を交配させることを指します。この場合、生まれた子猫は両親の遺伝子を両方持つため、どちらか一方の品種の特徴を完全に受け継ぐとは限りません。そのため、血統書団体が定める品種基準に合致せず、MIX(雑種)と判断されることが多いのです。

つまり、血統書団体は純血種の血統を保護するために、異種交配によって生まれた猫には血統書を発行しないというルールを設けているのです。

血統書団体によって登録可否が異なる

それぞれの団体の設立目的、歴史的背景、品種の定義、遺伝子に関する知識の進歩、社会的な変化、そして政治的な要因などが複雑に絡み合っているため、血統書団体によって見解が異なります。

例えば、純血種の保存を重視する団体と、新しい品種の誕生を積極的に認める団体では、品種の基準が大きく異なることがあります。また、遺伝子検査の普及により、品種の基準の見直しが行われる場合もあります。

血統書団体によって見解が違う理由

  1. 設立目的と理念の違い:古くからある品種を維持することを重視する団体や新しい品種の誕生を積極的に認め、多様性を重視する団体。猫の健康を第一に考え、品種改良の基準を厳しく設けている団体など、それぞれの団体が設立された目的や理念が異なるため、血統書団体によって見解が異なる一番大きな要因です。
  2. 歴史的な背景:古くから存在する団体と、比較的新しい団体では、品種の基準や登録の条件が異なる場合があります。また、それぞれの国や地域で、猫の品種に対する考え方や人気がある品種が異なることも要因として挙げられます。
  3. 品種の基準の違い:何代まで遡って純血種とみなすか、交配可能な品種は何かなど、品種の定義について各団体で異なる基準が設けられています。 また毛色、体形、目の色など、外見的な特徴に対する評価基準も団体によって異なります。

これらの要因が組み合わさることで、血統書団体によって公認の可否が異なる結果となります。

異種交配のメリットとデメリット

メリット

  • 新しい猫種の誕生:異種交配によって、今までにない特徴を持つ新しい品種が誕生します。例えば、マンチカンとペルシャを掛け合わせたミヌエットは、短足と長毛というそれぞれの特長を受け継いだ猫種です。
  • 遺伝的多様性の向上:異なる品種を掛け合わせることで、遺伝的な多様性が増し、病気や環境変化に対する耐性が増え、遺伝病のリスクを軽減することができます。
  • 健康の向上:異種交配により、遺伝性疾患の発生リスクを低く抑えることができるため、より健康な猫を育てることができます。

デメリット

  • 倫理的な問題:異種交配には倫理的な問題が伴うことがあります。特に、特定の特徴を持つ猫を作り出すために無理な交配が行われる場合には、動物愛護の観点から、品種改良が動物の福祉を損なう可能性があるとして問題視する意見もあります。
  • 予測不可能な結果:異種交配の結果として生まれる子猫の特徴や健康状態は予測が難しい場合があります。これにより、望ましくない特徴が現れることもあります。異なる品種を掛け合わせることで、予期せぬ遺伝病が発症するリスクが高まります。
  • 品質の低下:純血種同士の交配によって培われてきた、その品種特有の美しさや性格といった特徴が薄れてしまうことがあります。
    例えば、ペルシャ猫のふわふわとした長毛は長年の品種改良によって確立されたものです。しかし、これを他の品種と掛け合わせることで、この特徴が弱まり、ペルシャ猫らしさが失われてしまう可能性があります。

異種交配するうえでの注意点

異種交配による繁殖の難しさ

異種交配は、新しい品種を生み出す一方で、注意すべき点もたくさんあります。

まず、遺伝的な適合性の問題があります。異なる品種の猫同士では、遺伝子がうまく組み合わさらず、不妊や奇形、遺伝病を引き起こす可能性が高まります。特に、遠縁の品種同士の交配では、このリスクはさらに高まります。

次に、性格的な問題も挙げられます。異なる品種の猫は、性格や気性が大きく異なるため、交配相手との相性が悪く、繁殖行動を起こさない場合もあります。また、生まれた子猫の性格も予測しにくく、問題行動を起こす可能性も否定できません。

さらに、身体的な問題も無視できません。体格差が大きい猫同士の交配では、出産が難しく、母子ともに危険が伴うことがあります。また、生まれた子猫が弱小で、育てるのが困難な場合もあります。

倫理的な問題

猫の異種交配には、倫理的な側面から多くの議論がされています。

まず、動物福祉の観点から、品種改良が動物の健康を損なう可能性が懸念されています。特定の身体的特徴を強調する品種改良は、動物に痛みや苦しみを与える可能性があり、動物の尊厳を侵害するとの意見もあります。

また、商業目的での品種改良も問題視されています。希少な品種の高額な売買や、特定の身体的特徴を持つ猫への需要に応えるために、動物が商品化されるという状況が生じる可能性があります。

さらに、多様性の観点からも、品種改良は問題視されることがあります。品種改良によって、特定の遺伝病に弱い猫が増える可能性があります。

このように、猫の異種交配は、動物福祉、商業目的、生物多様性など、様々な角度から倫理的な問題が指摘されています。

まとめ

猫の異種交配は、新しい品種を生み出す一方で、遺伝的な問題や倫理的な問題も孕んでいます。異種交配によって生まれた猫は、見た目も性格も様々で、魅力的なものが多いですが、安易に行うべきではありません。

猫の品種改良は、専門的な知識と経験が必要であり、倫理的な側面も考慮する必要があります。猫を飼う際には、その品種の特性や遺伝的な背景をよく理解し、責任を持って飼育することが大切です。

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