現役ペットショップ店長、のあちです。
犬や猫をペットショップから迎えるとき、現在はマイクロチップが装着されています。
契約時にマイクロチップについて説明していると、よく聞かれるのが「これってGPSなんですか?」という質問です。
結論からいうと、マイクロチップはGPSではありません。
迷子になった犬や猫の居場所をスマートフォンで探せるものではなく、専用のリーダーで読み取った番号と登録情報を照合することで、飼い主を確認するためのものです。
そのため、「マイクロチップが入っているから、迷子になっても大丈夫」と考えるのは少し違います。
この記事では、マイクロチップでできること・できないことや、ペットショップから犬猫を迎えたあとに必要な手続きを、実際の店頭での説明も交えながら紹介します。
犬猫のマイクロチップとは?
マイクロチップは、犬や猫の皮下に装着する小さな電子標識器具です。
環境省の資料では直径約1.4mm、長さ約8.2mmの円筒形で、15桁の識別番号が記録されています。電池を必要とせず、専用のマイクロチップリーダーを使って番号を読み取ります。
この15桁の番号とデータベースに登録された飼い主情報を照合することで、その犬や猫の飼い主を確認できる仕組みです。
マイクロチップはGPSではない
ここは店頭でも勘違いされることが多いところです。
GPSのように現在地を発信しているわけではないため、犬や猫が脱走したときに、スマートフォンで居場所を確認することはできません。

契約時にも「GPSですか?」という質問はよくあります。
マイクロチップは居場所を追跡するものではない、ということは覚えておいてほしいところです。
たとえば迷子になった犬や猫を誰かが保護し、そのまま自宅へ連れて帰ったとします。
その犬や猫が動物愛護管理センターや保健所、動物病院などに行かず、マイクロチップを読み取られる機会がなければ、チップが装着されていても、それだけで飼い主へ連絡が来るわけではありません。

ペットショップはマイクロチップ装着が義務
2022年6月1日に改正動物愛護管理法が施行され、ブリーダーやペットショップなどの犬猫等販売業者には、販売する犬や猫へのマイクロチップの装着・登録が義務付けられています。
そのため、現在ペットショップなどから迎える犬や猫には、基本的にマイクロチップが装着されています。
ただし、「2022年から突然ペットショップでマイクロチップを扱うようになった」というわけではありません。

私の勤務先では2022年以前からマイクロチップを扱っていたので、義務化によって現場の仕事が大きく変わったという感覚はありません。
一方、2022年6月1日より前から一般家庭で飼育している犬や猫などについては、マイクロチップの装着は努力義務です。
ただし、新たにマイクロチップを装着した場合には、飼い主情報の登録が必要になります。
犬猫を迎えたら「変更登録」を忘れずに
ここはマイクロチップそのものと同じくらい大切です。
ペットショップやブリーダーからマイクロチップが装着された犬猫を購入した場合、新しい飼い主には自分の情報への変更登録を行う義務があります。
私の勤務先では、基本的に契約時にお客様と一緒に手続きを進めています。
ただ、時間がないなどの理由で自宅で手続きをしてもらうこともあり、後日「何をどうやるんだっけ?」と問い合わせを受けることもあります。
あとでやろうと思っていると、そのまま忘れてしまうこともあるので、お迎え時に済ませられなかった場合は早めに手続きしておきましょう。
変更登録には手数料がかかる
2026年9月現在、変更登録の手数料はオンライン申請で400円、紙申請で1,400円です。
オンラインの場合はスマートフォンやパソコンから申請でき、手続きには前の所有者から渡される登録証明書に記載された識別番号と暗証記号が必要です。変更登録が完了すると、新しい登録証明書が交付されます。
登録証明書は、住所変更など今後の手続きでも必要になるため、大切に保管しておきましょう。
引っ越しや電話番号変更後もそのままにしない
変更登録を一度したら終わりではありません。
氏名、住所、電話番号など登録内容が変わった場合には、変更の届出が必要です。この届出には手数料はかかりません。
マイクロチップが読み取られても、登録されている電話番号が古く連絡がつかなければ、本来の役割を十分に果たせません。
引っ越しや電話番号の変更などがあったときは、マイクロチップの登録情報も忘れずに更新しましょう。
マイクロチップをどう確認している?
マイクロチップは体の中にあるため、見ただけでは番号を確認できません。
そこで使用するのが「マイクロチップリーダー」です。
私の勤務先では、犬や猫が店舗へ入ってきたときにもリーダーを使用します。そして販売契約時にも再び読み取り、マイクロチップ番号を確認しています。
つまり、「この犬・猫にマイクロチップが入っています」と説明するだけではなく、実際にリーダーをかざして個体確認を行っています。

いろいろな場面でリーダーを使って確認しています。
飼い主さんが普段マイクロチップリーダーを見る機会は、あまりないかもしれません。
マイクロチップを入れるときは痛くないの?
「体の中にチップを入れる」と聞けば、痛みや安全性が気になる人もいると思います。
マイクロチップは専用の注入器を使って皮下へ装着します。実際に装着するところを見ると、通常の注射より針は太く見えるため、まったく何も感じないとは言い切れません。
一方、環境省の飼い主向け資料では、日本国内でも多数の装着実績があり、副作用による障害はほとんど報告されていないと案内されています。
店頭でマイクロチップについて説明していても、少なくとも私自身は、マイクロチップが原因と考えられるトラブルに遭遇することはほとんどありません。
心配なことがある場合や、すでに飼っている犬猫への装着を検討している場合は、獣医師に相談してください。
迷子になったとき、マイクロチップはどう役立つ?
犬や猫が迷子になり、動物愛護管理センターや保健所、動物病院などで保護された場合、マイクロチップをリーダーで読み取ることで15桁の識別番号を確認できます。
その番号とデータベースの情報を照合することで、飼い主への連絡につながります。環境省も、迷子だけでなく、地震や水害などの災害、盗難や事故などで飼い主と離れた場合に役立つとしています。
ただし、ここで忘れてはいけないことがあります。
マイクロチップは、読み取られて初めて役に立つものです。
そのため、マイクロチップが入っていることだけを理由に、迷子対策は十分とは考えない方がいいでしょう。
マイクロチップがあっても迷子札は必要?
個人的には、犬が嫌がらず安全に装着できるのであれば、迷子札もあった方がいいと思います。
理由の一つが災害です。
大きな災害が起きた直後に、動物病院や保健所などが通常通り機能しているとは限りません。マイクロチップリーダーを持っていない一般の人が犬や猫を保護することも考えられます。
迷子札に連絡先があれば、保護した人がその場で飼い主へ連絡できる可能性があります。
マイクロチップ
→ 外れにくく、専用リーダーで個体を確認できる
迷子札
→ 専用機器がなくても、保護した人が連絡先を確認できる
どちらか一方ではなく、それぞれ違う役割があります。
ただし、猫など首輪を嫌がる子に無理をさせる必要はないと考えています。
猫に首輪を使用する場合は、引っ掛かったときに外れるセーフティバックルタイプなど、安全性にも配慮して選びましょう。
マイクロチップと一緒にできる迷子対策
首輪を嫌がらない犬や猫なら、名前や連絡先を確認できる迷子札を付けておく方法があります。
軽さやサイズ、犬猫が邪魔に感じにくいかなどを確認して選びましょう。
災害への備えもマイクロチップだけでは足りない
マイクロチップは、災害で犬や猫と離ればなれになった場合にも身元確認に役立つ可能性があります。
しかし、災害への備えはそれだけではありません。
特に猫の場合、避難するときにキャリーへ入ってくれない、普段食べているフードが手に入らないといった問題も考えておく必要があります。
普段から準備しておきたいものをこちらの記事でも紹介しています。

「マイクロチップがあるから安心」と思わない
マイクロチップは、迷子や災害などで飼い主と離れてしまった犬猫の身元確認に役立つものです。
ペットショップなどから迎えた場合には、飼い主自身への変更登録も忘れてはいけません。
ただ、マイクロチップはGPSではありません。
犬や猫がどこにいるのかを探してくれるわけでも、脱走そのものを防いでくれるわけでもありません。

マイクロチップが入っているから安心、ではありません。
GPSではないので、迷子になっても読み取られる機会がなければ飼い主のところへ連絡は来ません。
まずは脱走させないことが一番大事です。
玄関や窓からの脱走を防ぐ。散歩中はリードやハーネスを適切に使用する。災害に備えて迷子札なども検討する。
そのうえで、万が一離ればなれになってしまったときの身元確認としてマイクロチップを活用する。
「入っているから大丈夫」ではなく、「もしものときに飼い主へつなげるためのもの」として考えておきましょう。

