2022年6月からペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化となりました。マイクロチップは動物の安全で確実な個体識別、身元証明の方法として、欧米をはじめ、世界中で広く使用されています。
マイクロチップの特徴や今までとなにが変わるのか、私たちはどうしたらいいのか、という疑問についてまとめてみようと思います。
マイクロチップの装着が義務化に
2022年6月から、犬・猫を販売するペットショップやブリーダーを対象にマイクロチップの装着が義務化になりました。
ペットショップやブリーダーは犬・猫を取得した日(生後90日以内の子犬や子猫の場合は、生後90日を経過した日)から30日以内に、環境省が定める基準に合ったマイクロチップを装着しなければなりません。
マイクロチップ装着後は所有者情報の登録が必須で、すでに登録されている犬、猫を譲り受けた人は、変更届出を行うことが義務となりました。
つまり、ペットショップ等からマイクロチップを装着した犬や猫を迎え入れた場合、一般の飼い主は登録内容変更の届出が義務ということになります。
つまり、飼い主は何をすればいいの?
装着義務化で私たちがするべきこと
私たちはどうすればいいの?
結論から言うと、2022年6月以前からすでに飼い主がいる犬、猫のマイクロチップの装着は「努力義務」となっているので、装着されていないからといって装着しなければ罰則があるという訳ではありません。
「努力義務」って言葉は
今のところは額面通りに受け取れば良さそう!
ただ、2022年6月以降に新たに犬や猫を迎えた場合はマイクロチップの装着、登録が義務となります。ペットショップなどで迎えた場合、マイクロチップの登録はペットショップが行なっているため、特に必要はありませんが、飼い主登録の変更という作業が必要になります。
環境省のこちらのページから登録することができます。また、入力にはペットショップなどから発行されているマイクロチップ登録証明書に記載のあるマイクロチップ番号と暗証記号が必要となります。
マイクロチップ装着は賛否両論
迷子になってしまったときや災害などで離ればなれになってしまったときなど、マイクロチップが装着されていれば見つかりやすいというメリットがあります。その一方で、「体内に異物を入れるのは可哀想」「痛そう」「アレルギー反応が怖い」などマイクロチップの装着に抵抗を覚える方も多いです。
否定派の気持ちも理解できるよね
それでは、そもそもマイクロチップとはどんなものなのか、そして装着のメリットとデメリットを挙げてみます。
マイクロチップとは?
特徴
直径2mm、長さが8~12mm程度の円筒形の電子標識器具で、内部はIC、コンデンサ、電極コイルからなり、外側が生体適合ガラスで覆われています。
それぞれのチップには、世界で唯一の15桁の番号が記録されており、この番号を専用のリーダー(読取機)で読み取ることが出来ます。
一度体内に埋め込むと脱落したり、消失することはほとんどなく、データが書き換えられることがないため、確実な身元証明となります。また、リーダーから発信される電波を利用してデータ電波を受信するため、電池は不要で半永久的に使用できます。そのためGPS機能はついていません。
過度の痛みや負担をほとんど与えないので、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類など、ほとんどの生物に使用することができ、これまで故障や外部からの衝撃による破損などの報告はありません。
装着の仕方
通常の注射より少し太い、専用のインジェクター(チップ注入器)で体内に注入します。正常な状態であれば、体内を移動してしまうことはほとんどありません。
埋め込む場所は動物の種類によって異なりますが、犬・猫の場合は首の後ろ(背側頚部皮下)が一般的です。
また、マイクロチップの埋め込みは獣医療行為にあたるため、必ず獣医師が行ないます。
登録される情報
マイクロチップの番号と飼い主の名前、住所、連絡先などのデータが登録されます。結婚により姓が変わったり、引っ越しにより住所が変わった場合などは登録の変更手続きが必要となります。
変更の届出を忘れないようにしなきゃね♬
ペットショップなどから2022年6月以降に迎え入れた場合も「ペットショップが飼い主として登録されている犬(猫)」となるので、先述した通り飼い主登録の変更が必要となるわけです。
こんな時に役に立つ
迷子
散歩中に逃げ出してしまったなど迷子によって離れ離れになった場合でも、マイクロチップの番号をリーダーで読み取り、データベースに登録されている情報と照合することで、飼い主の元に帰ってくる可能性が高くなります。リーダーは、全国の動物愛護センターや保健所、動物病院などに配備されています。
災害、事故
東日本大震災の際に被害にあった多くの犬や猫がマイクロチップのおかげで飼い主の元に帰ることが出来た事例が報告されています。災害大国と言われる日本なので、いざという時のために備えておくのがいいかもしれません。
不幸な犬猫を作らせない
コロナ禍において外出自粛やリモートワークの影響でペット業界は大いに賑わいました。その一方で、ニュースや記事などで目にしたのが「こんなはずじゃなかった」「こんな大変だとは思わなかった」という言葉です。育児放棄した飼い主が子犬や子猫をどこかに遺棄…なんて考えたくもありませんが、そういった場合もマイクロチップが装着されていることによって飼い主が特定できてしまうため、抑止効果として期待できます。
心配・不安な点
痛くないの?
もちろん、体内に入れるためまったくの無痛ではありません。しかし、痛みは普通の注射と同じくらいと言われており、鎮痛剤や麻酔薬などは必要ありません。
障害や後遺症は出ない?
適切に装着が行なわれていれば、犬や猫の体に負担をかけることはありません。
体内に異物を入れるわけなので、アレルギー反応など副作用が心配になりがちですが、マイクロチップ自体に生体適合素材が使われているため、まれに皮下組織内でマイクロチップ本体が移動することはありますが、健康被害はありません。
また、装着されていてもレントゲンやCTスキャンなどは支障なく行うことができます。
負担がないなら安心だね♬
まとめ
これから子犬や子猫をペットショップやブリーダーから迎え入れる場合は既にマイクロチップは装着された状態で家族に仲間入りします。既に飼い主がいる犬や猫へのマイクロチップの装着は努力義務のため、装着していないことに対する罰則は今のところありません。
体内に異物を入れるわけなので、いくら健康に影響はないと報告されていても否定的な意見があるのもわかります。しかし、日本は災害大国です。いつ襲ってくるかもしれない災害に備え、装着しておくのが良いのではないかと個人的には思っています。