愛犬とのお出かけは楽しいものですが、公共交通機関を利用する際や災害時の避難、病院への移動など、様々な場面で犬用キャリーは欠かせません。しかし、いざ選ぼうとすると、種類が多すぎてどれが良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、犬用キャリーの選び方のポイントから、タイプ別の特徴、そしておすすめのキャリーまでを詳しく解説します。愛犬にぴったりのキャリーを見つけて、もっと快適なお出かけを実現しましょう!
なぜ犬用キャリーが必要なの?
犬用キャリーは、単に愛犬を運ぶための道具ではありません。以下のような様々なメリットがあります。
安全の確保
犬は好奇心旺盛で、予測不能な動きをすることがあります。車に乗せた際に窓から身を乗り出したり、自転車での移動中に急に飛び降りようとしたりすると、重大な事故につながる可能性があります。
車での移動中に万が一、急ブレーキをかけたり、軽い衝突事故が起きたりした場合、ノーリードの状態では愛犬が車内で投げ出され、大きな怪我を負う可能性があります。
病院への移動
病気や怪我で体調が悪い時、あるいは普段と違う場所に連れて行かれることに不安を感じる愛犬にとって、キャリーは外部の刺激から身を守り、落ち着ける「隠れ家」のような存在になります。
特に、診察室での待ち時間や、他の動物病院の匂い、見慣れない人や動物に囲まれる状況は、愛犬に大きなストレスを与える可能性があります。
キャリーの中にいれば、そうしたストレス要因からある程度隔離され、安心感を得やすくなります。
災害時の避難
地震や台風などの大規模災害が発生した際、多くの自治体ではペットとの「同行避難」を推奨しています。しかし、避難所では衛生面や他の避難者への配慮から、ペットをケージやキャリーに入れることが原則とされています。
リードだけで連れて行っても受け入れてもらえないケースがほとんどであり、キャリーは同行避難を可能にするための必須アイテムとなります。
慣れない避難所の環境は、愛犬にとって非常に大きなストレスとなります。周囲の見知らぬ人や動物、不慣れな匂い、騒音などが原因で、パニックになったり体調を崩したりすることも少なくありません。
キャリーは、そんな状況下で愛犬が身を隠し、安心できる「自分だけのテリトリー」となります。普段から使い慣れていれば、閉鎖された空間でも比較的落ち着いて過ごせるため、ストレスの軽減につながります。

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公共交通機関の利用
電車、バス、飛行機などの公共交通機関では、多くの場合、ペットを連れて乗車・搭乗する際に、全身が完全に隠れる専用のキャリーに入れることが義務付けられています。
これは、他の乗客への配慮(アレルギーを持つ方、動物が苦手な方など)や、愛犬自身の安全確保(車内で興奮したり、逃げ出したりするのを防ぐ)のためです。
電車・バス
各鉄道会社やバス会社によって細かな規定(キャリーのサイズ、重さ、持ち込み料の有無など)は異なりますが、共通して「全身を覆うケージやキャリーバッグに入れること」が条件となります。
顔や体の一部が外に出ている状態では乗車を拒否される可能性があります。
飛行機
国内線・国際線ともに、ペットを機内に持ち込めるケースは非常に限られており、多くの場合、専用の貨物室での預かりとなります。
この際も、IATA(国際航空運送協会)が定める基準を満たした、頑丈なハードタイプのキャリー(クレート)が必要不可欠です。
航空会社によっては、キャリーのサイズや素材、通気口の数などが厳しく定められています。
ストレス軽減
犬は本来、穴や狭い場所に身を潜めることで安心感を覚える習性があります。キャリーは、まさに愛犬にとっての「個室」であり、「自分だけの安全な隠れ家」となる場所です。
慣れない場所や予測不可能な状況に直面した時でも、キャリーの中に入ることで、外部の刺激から遮断され、落ち着きを取り戻しやすくなります。
飼い主と離れることに不安を感じる「分離不安」を抱える犬も少なくありません。キャリーに慣れていれば、一時的に留守番をさせる際や、ペットホテルなどに預ける際にも、キャリーが愛犬にとっての安心できる空間となり、不安感を和らげる助けになります。

犬用キャリーの選び方
愛犬に最適なキャリーを選ぶためには、以下の5つのポイントを考慮しましょう。
犬に適したサイズを選ぶ
キャリーのサイズは最も重要です。絶対条件は、「犬がキャリーの中で方向転換できること」になります。以下、詳しく基準を目安に選びましょう。
適したサイズ・・・
・高さ:愛犬が立った時に頭が天井につかない程度の高さがあるか
・奥行:愛犬が伏せた時に体が収まり、方向転換できる程度の奥行きがあるか
・幅:愛犬が伏せた時に横幅が窮屈でないか
となります。ひとつずつ細かく見ていきましょう。
高さ:愛犬が立った時に頭が天井につかない程度の高さがあるかが大切です。天井に頭がぶつかると、移動中にストレスを感じたり、姿勢を崩したりする原因になります。具体的なサイズは、愛犬が立った時の高さ + 5〜10cmです。
奥行き:愛犬が伏せた時に体が完全に収まり、さらにくるりと方向転換できる程度の奥行きがあることが重要です。奥行きが足りないと、伏せて寝る姿勢がとれなかったり、向きを変える際に無理な体勢になったりして、大きなストレスになります。具体的には、愛犬の鼻先からお尻までの長さ + 10〜15cmとなります。
幅:愛犬が伏せた時に横幅が窮屈でないかを確認してください。特に、長時間キャリーの中で過ごす可能性がある場合、横幅が狭すぎると体を伸ばしにくく、リラックスできません。愛犬が無理なく横になれる程度の余裕を持たせることが大切です。具体的には、およそ愛犬の肩幅の約2倍となります。
使用したい場面に合わせてキャリーのタイプを選ぶ
キャリーには様々なタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。主なタイプは以下の通りです。
ソフトタイプ(バッグ・リュック・スリング)
特徴
布製やナイロン製など、柔らかい素材で作られています。軽量で柔軟性があるため、使わない時は折りたたんでコンパクトに収納できるものが多いです。
通気性の良いメッシュ窓が特徴で、愛犬が外の様子を見やすいデザインも多いです。
向いているシーン
・普段使いや短時間の移動:近所の動物病院への通院、カフェや友人宅への訪問など
・公共交通機関での移動:電車やバスなど、手軽に持ち運びたい時に便利
注意点
ハードタイプに比べて強度がないため、衝撃には弱いです。
また、興奮しやすい犬や噛み癖のある犬には不向きな場合があります。
ハードタイプ(クレート)
特徴
プラスチックや金属など、硬くて頑丈な素材で作られています。しっかりとした作りで安定感があり、衝撃に強いのが最大のメリットです。
扉がしっかりロックできるものが多く、安全性も高いです。分解して収納できるタイプもあります。
向いているシーン
・長時間の移動:車での長距離移動や、飛行機など高い安全性が求められる場合など
・災害時の避難:避難所での生活や、一時的な隔離が必要な緊急時など
注意点
ソフトタイプに比べてかさばり、重さもあります。
デザイン性がシンプルなものが多く、ファッション性より機能性を重視する方向けです。
カートタイプ
特徴
キャリー部分に車輪とハンドルが付いており、人間がキャリーケースを引くように移動できるタイプです。
キャリー部分が取り外せるものや、折りたたみ可能なフレームのものなど、多様なデザインがあります。
向いているシーン
・大型犬や老犬の移動:体重のある大型犬や、足腰が弱くなった老犬の散歩や通院など
・多頭飼い:複数の犬を一度に連れて移動したい場合
注意点
ある程度のスペースを取るため、混雑時には公共交通機関での利用には制限がある場合があります。段差や不整地での移動は揺れが大きくなることがあります。
どのタイプがあなたの愛犬にぴったりか、イメージできましたか? 「結局、どれを選べばいいの?」そう思われたあなたへ。 タイプごとの具体的なおすすめキャリーは、この後じっくりご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね!
素材と通気性、お手入れのしやすさで考える
素材
丈夫で耐久性があり、汚れが拭き取りやすい素材を選びましょう。
通気性
夏場はもちろん、冬でも密閉された空間は愛犬にとって熱中症のリスクがあります。十分な換気ができる窓や通気口があるか確認しましょう。
お手入れのしやすさ
キャリーは愛犬の排泄物や抜け毛などで汚れやすいものです。丸洗いできるか、拭き取りやすい素材かなど、お手入れのしやすさも重要なポイントです
安定性と安全性を考える
安定性
移動中にグラグラしない、しっかりとした構造のものが安心です。特にハードタイプは安定性が重要です。
安全性
開閉部分がしっかりロックされるか、愛犬が内側から開けてしまわないか確認しましょう。飛び出し防止リードフックが付いているものもあります。
タイプ別!おすすめ犬用キャリー紹介
ここでは、上記の選び方を踏まえた上で、各タイプのおすすめキャリーをいくつかご紹介します。
軽量&多機能!ソフトタイプ
おすすめポイント:普段使いに最適。軽量で肩掛けやリュックとしても使える多機能タイプ
愛犬とのお出かけがもっと身軽に!軽くて丈夫なポリエステル製のソフトキャリーです。上部のメッシュ部分が大きく開閉し、ロールアップで固定できるから、出し入れも簡単です。
使わない時はコンパクトに折りたためて収納もラクラク。内側はPVC加工で汚れをサッと拭き取れ、いつでも清潔に保てます。肌触り抜群のふわふわマットと飛び出し防止ベルト付きで、愛犬も快適&安全。シートベルト固定も可能なので、ドライブのお供にも最適です。
丈夫で安心!ハードタイプ
おすすめポイント:頑丈で安定感抜群。ハウスとしても使える。
丈夫なポリカーボネート製スモークドアで、愛犬が落ち着ける空間になります。天面のトップドアは出し入れが楽々。
ワイドハンドルで女性でも安定して持ち運べ、ドアの左右付け替えや取り外しで、普段使いのハウスとしても最適です。シートベルトで固定すればドライブも安心。お手入れ簡単なプラスチック製で、約1.7kgと軽量ながら体重8kg以下の愛犬をしっかり守ります。万一の災害時にも活躍する、頼れるアイテムです!
移動が楽々!カートタイプ
おすすめポイント:大型犬や多頭飼いでも楽に移動できる。
3WAYで大活躍の多機能ペットキャリー!手提げ、リュック、キャリーカートとシーンに合わせて使い分け。3か所の出入口と通気性抜群のメッシュ素材で、愛犬・愛猫も快適です。
3段階のハンドル調節や5つの収納ポケットで使い勝手も抜群。2本リード付きで多頭飼いも安心、ふわふわマットは取り外して清潔に保てます。約150gの超軽量、さらにコンパクト収納可能。チェストベルトで安定感も◎。旅行やお出かけ、通院など、あらゆるシーンをサポートする頼れる一台です!
他にもまだある!
おすすめポイント:他とは違う、オリジナリティが発揮できる
愛犬とのお出かけ、もっと快適にしませんか?「カンガプーチ」の抱っこ紐は、従来の悩みを解決!独自設計の背中ベルトが愛犬の体重をしっかり支え、抜群の安定感とフィット感を実現しました。
約150gの超軽量で、肩や腰への負担を軽減。伸縮性のあるオーガニックコットンポーチは、ハンモックのように愛犬を優しく包み込み、自然な体勢を保てるため関節にも優しいです。
シンプルながら愛犬と飼い主、双方の快適さを追求した逸品をぜひお試しください!
キャリーに入るのが嫌いな場合
せっかく良いキャリーを選んでも、愛犬が嫌がってしまっては意味がありません。キャリーに慣れてもらうための工夫をしましょう。
キャリーに慣れてもらう手順
手順① 安心できる場所だと認識させよう
キャリーを初めて見せる時は、扉を開け放したまま、部屋の隅など愛犬が落ち着ける場所に置いてあげましょう。最初から閉じ込めようとせず、「これは怖くないもの」「むしろ良いことが起こる場所」だと認識させることが重要です。
愛犬のニオイをつける
いつも使っているタオルやブランケット、お気に入りのおもちゃなどをキャリーの中に入れてあげると、愛犬にとって見慣れた、安心できるニオイが充満し、入りやすくなります。
おやつで誘導する
扉を開けたまま、キャリーの一番奥におやつを置いてみましょう。愛犬が自ら興味を持って中に入るのを待ちます。無理に押し込んだり、抱き入れたりするのはNGです。
好奇心を刺激する
中にコングなど、時間がかかるおやつを入れて、キャリーの中で過ごす時間を楽しいものと関連付けましょう。
手順② キャリーの中でごはんを与えて良いイメージを植えつけよう
食事は犬にとって最も楽しみな時間の一つです。この楽しい経験とキャリーを結びつけることで、キャリーに対する良いイメージを強く植え付けることができます。
最初は入口付近で
最初はキャリーの入口付近に食器を置き、愛犬が無理なく食べられるようにします。
少しずつ奥へ
愛犬が慣れてきたら、少しずつ食器をキャリーの奥へとずらしていきます。最終的には、愛犬が完全に中に入って食べられるように誘導しましょう。
扉を閉める練習もしよう
愛犬が食事に夢中になっている間に、そっと扉を閉めてみましょう。食べ終わる頃に静かに扉を開けます。
手順③ 短時間から慣れていこう
愛犬にキャリーでの時間を好きになってもらうには、段階を踏むことが不可欠です。
短時間からスタート
最初のうちは、ほんの数分だけキャリーの中で過ごさせます。
少しずつ時間を延ばそう
愛犬が落ち着いていられるようであれば、徐々にキャリーの中で過ごす時間を5分、10分と延ばしていきます。
場所を変えてみよう
キャリーに慣れてきたら、家の中でキャリーを少し移動させてみたり、玄関先に置いてみたりして、環境の変化にも慣らしましょう。
手順④ 嫌がったら一旦中断、時間を置いて再チャレンジしよう
愛犬がキャリーを嫌がる素振りを見せたら、絶対に無理強いしないでください。
無理に押し込んだり、怒ったりすると、キャリーに対する恐怖心や嫌悪感が植え付けられ、逆効果になります。
サインを見逃さないようにしよう
震える、よだれを垂らす、唸る、後ずさりするなどの嫌がるサインを見逃さないようにしましょう。
嫌がったら一旦中断
嫌がる素振りが見られたら、すぐに練習を中断し、愛犬を解放してあげます。
楽しいことで気分転換
しばらく時間を置き、一緒に遊んだり散歩に行ったりして、気分転換をさせましょう。
原因を考えよう
なぜ嫌がったのか(サイズが合わない、音がする、以前の嫌な経験など)を考え、改善できる点があれば見直しましょう。
手順⑤ キャリーの中で褒める
おやつをもらえるなど嬉しいことは、愛犬のしつけにおいて非常に効果的です。キャリーに入ることと、嬉しいこと(褒められる→ご褒美をもらえる)と強く結びつけましょう。
言葉で褒める
愛犬がキャリーに入ったらすぐに、「良い子!」「ハウス!」などと明るい声で褒めてあげましょう。
特別なおやつをあげる
普段はあげないような、特別に美味しいおやつをキャリーの中に入った時だけ与えるのも効果的です。
撫でて安心させる
愛犬がキャリーの中で落ち着いていたら、優しく撫でてあげたり、声をかけてあげたりすることで、さらに安心感を高めることができます。
キャリーに入る「合図」を決める
キャリーに入ることを促す言葉(例:「ハウス」「クレート」)を決め、愛犬が中に入ったら褒めてご褒美を与えることを繰り返すことで、その言葉を聞けば自ら進んでキャリーに入るようにしつけることができます。
まとめ
犬用キャリーは、愛犬の安全と快適さを守るための大切なアイテムです。使用する目的や愛犬の体格、性格、そしてライフスタイルに合わせて最適なキャリーを選びましょう。
この記事が、あなたの愛犬にぴったりのキャリーを見つける手助けになれば幸いです。