現役ペットショップ店長、のあちです。
あなたがよく行くペットショップで、こんな変化に気づきませんか?
法改正から3年以上が経過した今、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーといった大型犬は、本当に店頭から姿を消しつつあります。 2022年6月の動物愛護法改正は、単なるルール変更ではなく、私たちペットショップの経営と飼育環境を劇的に変えました。
特に厳格化されたのが、ケージの広さ、運動時間、そしてスタッフの人数に関する基準です。
改正から時間が経った今だからこそ、法律を守っている店と、残念ながら抜け道を探している店がはっきり分かれてきています。
この記事では、現役店長としての3年半の経験から、「改正法が現場にどんな影響を与えたのか」「良い店と悪い店の見分け方」、そして「ペットショップの犬たちが本当に幸せになっているのか」というリアルな実態を包み隠さず解説します!
現役店長が解説!動物愛護法改正の本当の目的
2022年6月に動物愛護法が改正されてから、すでに3年半が経過しました。この改正は、飼育スペース(犬舎)のサイズや運動時間の確保など、ペットショップやブリーダーの運営に非常に大きな縛りを設けました。
そもそも、この法改正が目指しているゴールは動物の虐待防止と適正な取り扱いの推進です。
改正の背景には、悲しいことに、ペットショップや一部のブリーダーにおける劣悪な飼育環境が社会問題化したことがあります。特に、狭いケージ内での長期飼育は、子犬たちのストレスを高め、将来的な健康や社会化に悪影響を与えるとして、規制強化が求められました。
法律が施行された当初は、対応に追われる店舗や業者が多かったのですが、3年半が経過した現在、業界内では大きな変化が起きています。
- 悪質な業者の淘汰
厳しい基準をクリアできない、利益優先の悪質なブリーダーやペットショップは廃業に追い込まれています。流通する子犬・子猫の全体的な健康レベルは確実に向上しました。 - 優良店のコスト増
広い犬舎の導入やスタッフ増員など、法律を遵守する優良店では当然ながら運営コストが増加しています。このコストは、最終的に子犬の価格に反映せざるを得ないのが現状です。
この改正は、単にケージを広くする話ではなく、「犬や猫が、より自然でストレスの少ない環境で過ごせるように」という、動物福祉の観点から根本的な改善を業界に求めているのです。

飼育スペースの広さを確保
子犬や子猫の寝床・休息場所が一般的なペットショップのような犬舎・ケージ飼育(分離型飼養)の場合、基準となる犬舎(ケージ)の大きさに数値基準が定められました。
犬のケージの大きさ
(タテ)体長の2倍以上
(ヨコ)体長の1.5倍以上
(高さ)体高の2倍以上
猫のケージの大きさ
(タテ)体長の2倍以上
(ヨコ)体長の1.5倍以上
(高さ)体高の2倍以上(2段以上の構造)
※体長・・・首元の胸骨端から坐骨端までの長さ
※体高・・・地面からキ甲部までの垂直の長さ
店長のあちが体験した現場の問題
大型犬を仕入れない
当店でも、以前はゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーといった大型犬の子犬を仕入れていましたが、成長するにつれて基準を満たす広いケージを確保し続けることが、店舗の面積とコスト的に困難になり、仕入れを断念しました。
今、多くの優良店で大型犬を見かけなくなったのは、単なるブームではなく、法律に基づく必然的な結果なのです。
店頭の犬種の変化
その結果、店頭に並ぶ犬種は、成長しても比較的小さなチワワ、トイプードル、または柴犬のような中型犬でも小型寄りの子に集中する傾向が強まりました。

のあち店長の“ここだけのハナシ”
法律では「2週に1回は体長と体高を計測しなければいけない」と厳しく定められています。
店頭で子犬を選ぶ際は、その子の体のサイズに対して、ケージの広さが本当にゆとりを持って確保されているかを、ぜひご自身の目でチェックしてみてください。
運動スペースと運動時間の確保:3時間ルールをどうクリアする?
分離型飼養(犬舎やサークルで飼育)の場合、子犬たちは1日3時間以上、運動スペース内で自由に運動できる時間を設けなければならない、という基準が具体化されました。
これには、清潔な給水の常時確保や、毎日ふれあいを行うことも含まれます。
店長のあちが体験した運動時間の確保
法律の基準は厳しいですが、私たちは単に時間を守るだけでなく、子犬たちの「社会化(他の犬や人との適切な関わりを学ぶこと)」を促すための工夫を凝らしています。
計算されたスケジュール管理
営業時間中、運動スペースの稼働は分単位でスケジュールされています。特に運動スペースが一つしかない店舗では、「朝一番に体格の小さい子」「昼過ぎに少し大きな子」というように、怪我を防ぎつつ、すべての子が3時間を確保できるように、パズルのように緻密な運用を行っています。
相性の見極め
一緒に運動させる子犬同士は、単に体格差がないかだけでなく、性格の相性をスタッフが毎日チェックしています。相性の悪い子を無理に遊ばせると、ケンカやストレスの原因になるからです。
ふれあいの時間の義務化
法律により、散歩や遊具を用いた運動を通じたふれあいが毎日義務化されたことにより、子犬たちは私たちスタッフだけでなく、適切なルールの中で外部の刺激に慣れる機会が増え、新しい飼い主さんの元へ行った後の適応力が高まっています。

のあち店長の“ここだけのハナシ”
もしペットショップを訪れることがあれば、ぜひスタッフに「この子たちの運動スケジュール」や「誰と遊んでいるか」を尋ねてみてください。即座に明確な答えが返ってくる店は、法律をきちんと守っている証拠です。
従業員人数による飼育頭数の制限:人件費と子犬の価格への影響
動物愛護法改正では、スタッフ1人あたりが適切に世話できる飼養保管頭数に、明確な上限が設けられました。これは、清掃、給餌、健康状態の確認、運動、触れ合いといったすべての業務が、適切に行き届くようにするためです。
裏を返せば、この基準は、利益だけを追求して少人数で大量の犬猫を管理する悪質な業者を排除するために設けられた、非常に重要なルールです。
店長のあちが考えるコストの現実
この制限は、子犬たちのより良い環境を守るために、避けて通れないコスト増を私たちにもたらしました。
スタッフの増員
基準を守るためには、繁忙期や営業時間全体を通して、常駐スタッフの数を増やさざるを得ません。
人件費の高騰
スタッフが増えれば、当然ながら人件費が高騰します。この高騰分は、経営努力で吸収できる部分もありますが、限界を超えた分は子犬の販売価格に反映せざるを得ません。
チェック体制の強化
従業員が適切に仕事をしているかを確認するため、スタッフの勤務一覧や作業チェック表の作成が義務化されました。この書類作成は手間ですが、結果として子犬一頭一頭の健康管理が徹底されるというメリットを生んでいます。

のあち店長の“ここだけのハナシ”
スタッフが少ないのに店頭に子犬・子猫が大量にいるお店は、要注意です。スタッフが忙しすぎると、あなたの家族となる子犬への十分なふれあいや健康観察ができていない可能性が高いです。スタッフの人数と子犬の数のバランスも、良い店を見極めるポイントとして覚えておきましょう。
法改正の基準を満たせない「危険なペットショップ」の見分け方
2022年6月の法改正は、健全に運営している優良店にとっても大きな負担でしたが、逆に言えば、「改正前はグレーだった」、あるいは「利益優先でギリギリのラインで運営していた」ようなペットショップにとっては、文字通り存続の危機となりました。
法改正から3年半が経過した現在、以下の特徴を持つペットショップは、残念ながら淘汰されたか、基準を守れないまま運営を続けている可能性があります。
飼育スペースが狭いままの店舗
特に、ゴールデン・レトリーバーなどの大型犬が成長するまで販売できずに店頭に残ってしまった場合、基準を満たす広いケージの確保は不可能です。
法改正後も大型犬の取り扱いを続ける店舗は、広いスペースへの大幅な投資をしているか、基準ギリギリの環境で無理をしている可能性があります。
運動スペースが確保できない狭い店舗
運動スペースの設置は必須ですが、店舗面積が狭すぎてそれができない場合、犬の生体販売を止め、猫の生体販売のみに切り替えるなどの対応が迫られています。
今も犬を扱っているのに、運動スペースの設置場所が不明確な店は、運営に課題を抱えている可能性が高いです。
極端な少人数スタッフ店舗
従業員数の制限があるため、個人経営などの少人数スタッフ店舗で、同時に多くの子犬・子猫を飼養することは法律上できません。
もし子犬の数に対してスタッフの数が圧倒的に少ないと感じたら、ふれあい、清掃、健康チェックなどが適切に行われていないサインかもしれません。
そもそも、少人数スタッフ店舗で多くの仔犬や子猫は居ないでしょうから、ペットショップにはあまり関係ないかもしれません。
少人数スタッフでとても多くの子犬子猫を飼養する利益追求主義のブリーダーに向けた法改正とも捉えることができます。
営業時間(スタッフが店舗にいる時間)が短い店舗
犬は1日3時間以上の運動が義務付けられています。
例えば、同じような月齢の、同じような体格の犬を一緒に遊ばせるとしても、それが3時間です。スタッフが店舗にいる時間が9時間だとしても、9(時間)÷3(時間)=3(回)です。3回の入れ替えしか運動スペースが稼働しません。一緒に4頭遊ばせるとしても12頭しか運動できないことになってしまいます。
営業時間が短い店舗では、スタッフの滞在時間内にすべての子犬の運動時間を確保することが難しくなり、「運動に出せない犬」が発生してしまうリスクが高まります。

のあち店長の“ここだけのハナシ”
ペットショップを訪れた際は、ぜひこれらのチェックポイントを意識して、「本当に動物のことを考えている店か」を判断してみてください。
まとめ
今回は、動物愛護法改正がペットショップに与えた具体的な影響を、現役店長としての視点から詳しく解説しました。
法改正から3年半が経過し、私たち現場で働いている人間が体感する変化は、以下の3点に集約されます。
・中型〜大型犬の取り扱いが激減した
・運動スペースの導入で店舗のレイアウトが大きく変わった
・飼育管理のためのスケジュールやチェック体制が厳しくなった
確かに、広い犬舎の確保やスタッフの増員は、コストという形で私たちの経営に重くのしかかっています。
しかし、その結果として、「悪質な業者の淘汰」と「流通する子犬・子猫たちの生活の質向上」という観点から見て非常に前向きな変化が起きたことは間違いありません。

のあち店長の“これだけ言わせて!”
これから子犬や子猫を家族に迎えようと検討されている方は、ぜひこの法改正の基準を頭に入れて、ペットショップを訪れてみてください。
「このお店は、法改正が求める『適切な環境』をコストをかけてでも守っているか?」という視点でチェックするだけで、そのお店が本当に動物の命を大切にしている優良店なのかどうかを、簡単に見極めることができます。
さらに、優良店を確実に選び抜くための具体的なチェックポイントを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
あなたの「正しい目」で選ぶことが、ペットショップの未来を変える一番の力になります。


