ペットショップ店長、のあちです。
愛犬がフローリングの上を走ったとき、足が空回りするように滑っていることはありませんか?
人にとっては歩きやすいフローリングでも、犬にとっては踏ん張りにくい場合があります。特に室内で走ったり急に方向転換したりすると、滑って足腰に余計な負担がかかることがあります。
犬を迎える前の相談でも、「フローリングのままで大丈夫ですか?」と聞かれることがあります。
すべての家庭で床一面にマットを敷く必要があるわけではありませんが、実際に犬が滑っているなら何らかの対策を考えておきたいところです。
この記事では、犬とフローリングの関係やパテラ(膝蓋骨脱臼)について触れながら、マット・ワックス・フロアコーティングなど家庭でできる床対策を紹介します。
フローリングで滑るなら床対策を考えよう
犬がフローリングで滑るかどうかは、床材や犬の歩き方、足裏の状態などによっても変わります。
普通に歩けている犬もいる一方で、走り出したときに足が空回りしたり、曲がろうとした瞬間に滑ったりする犬もいます。
特に滑っている様子が見られるなら、「フローリングだから絶対に危険」と考えるのではなく、その犬が歩きやすい環境を作ってあげることが大切です。
また、滑りにくい床は足腰への配慮だけでなく、集合住宅では走ったときの足音やジャンプしたときの衝撃音を軽減するメリットもあります。

フローリングだから必ず対策が必要というわけではありません。
まずは愛犬が歩いたり走ったりするときに、実際に滑っていないか確認してみましょう。
パテラ(膝蓋骨脱臼)とは?
犬について調べていると、よく目にするのが「パテラ」という言葉です。
パテラは本来「膝蓋骨」を意味する言葉ですが、一般的には膝のお皿にあたる膝蓋骨が、本来収まっている位置から内側または外側へ外れてしまう「膝蓋骨脱臼」を指して使われています。
特にトイプードル、ポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリアなどの小型犬で多く見られますが、特定の犬種だけに起こるものではありません。
ペットショップでも、子犬の健康診断で軽度のパテラを指摘されるケースは珍しくありません。
「パテラ=すぐに歩けなくなる」というわけではありません
軽度ではほとんど症状が見られないこともあり、状態によって必要な対応は異なります。すでにパテラと診断されている場合は、グレードだけで自己判断せず、獣医師からどのような説明を受けているかを確認することが大切です。
パテラにはグレード1~4がある
パテラは膝蓋骨の外れ方などによって、一般的にグレード1~4に分類されます。
グレード1では、普段は膝蓋骨が正常な位置にあり、手で押すと外れるものの自然に戻ります。症状がほとんど見られない犬もいます。
グレードが上がるにつれて膝蓋骨が外れている時間が長くなり、歩き方の異常などが見られることがあります。
ただし、治療が必要かどうかは「グレード○だからこうする」と単純に決まるものではありません。症状や年齢、骨格の状態などによって対応が異なるため、治療については獣医師と相談しましょう。
フローリングがパテラの原因とは限らない
ここは誤解しやすいところです。
犬のパテラには、成長過程における骨や靭帯、筋肉などの形成異常が関係する先天的・発育上の要因があります。また、事故や高い場所からの転落など、強い外力によって後天的に起こる場合もあります。
そのため、「フローリングで生活しているからパテラになった」と単純に考えることはできません。
一方で、すでにパテラがある犬では、滑りやすいフローリングで生活することが膝への負担となり、症状の悪化につながる場合があります。
だからこそ、パテラの有無にかかわらず、犬が実際に滑っているのであれば床環境を見直してみましょう。
犬のフローリング対策は4つ
フローリングの滑り対策には、大きく分けて「タイルマット」「カーペット・ロングマット」「滑り止めワックス」「フロアコーティング」という方法があります。
どれかひとつが絶対的な正解というわけではありません。
住んでいる家が賃貸なのか持ち家なのか、犬が粗相する可能性があるのか、部屋の見た目をどこまで変えたくないのかなどによって選びましょう。
① 洗えるタイルマット
子犬を迎える家庭で使いやすいのが、1枚ずつ取り外せるタイルタイプのマットです。
汚れた部分だけを外して洗えるため、トイレトレーニング中の子犬にも使いやすく、傷んだ部分だけ交換できるメリットもあります。
特に選ぶときに重視したいのは「洗えること」と「マット自体がズレにくいこと」です。
犬が走る範囲すべてに敷く必要はなく、よく遊ぶリビングなどから始めてもよいでしょう。
まず手軽に床対策を始めるなら、洗えるタイルマットが使いやすいでしょう。
汚れた部分だけ取り外して洗えるので、粗相の可能性がある子犬にも向いています。裏面が吸着するタイプなら、マット自体のズレも抑えやすくなります。
ジョイントマットは誤食にも注意
ジョイントマットも床対策として利用できますが、特に子犬の場合は使い方に注意しましょう。
端やつなぎ目を噛んだり、剥がして遊んだりする犬もいます。噛みちぎった破片を飲み込んでしまう可能性もあるため、使用中は犬の様子を確認してください。
何でも噛んでしまう時期の子犬なら、無理にジョイントマットを選ぶ必要はありません。
② カーペット・ロングマット
廊下など犬がよく走る場所だけ対策するなら、ロングマットを敷く方法もあります。
一枚で広い範囲をカバーでき、設置や撤去が簡単なのがメリットです。
ただし、タイルマットと違って汚れた部分だけ取り外せない商品もあります。犬と暮らす家庭では、洗濯やお手入れのしやすさも確認して選びましょう。
また、毛足が長すぎるものなど、犬の爪が引っかかりやすい素材は避けたほうが安心です。
③ 滑り止めワックス
「マットを敷くと部屋の雰囲気が変わってしまう」という家庭では、ペット向けの滑り止めワックスも選択肢になります。
フローリングを見せたまま対策できることが大きなメリットです。
一方で、ワックスは商品によって使用できる床材や施工方法、耐久性などが異なります。購入前に自宅のフローリングに使用できるかを確認しましょう。
マットを敷かず、フローリングの見た目をできるだけ残したい場合は、ペット向けの滑り止めワックスも選択肢になります。
商品によって対応する床材や塗り直しの目安が異なるため、自宅の床に使用できるか確認して選びましょう。
④ フロアコーティング
新築や築浅の持ち家なら、専門業者によるフロアコーティングを検討する方法もあります。
マットのように床を覆わずに済むため、フローリングの見た目を残しながら広い範囲を対策したい家庭にはメリットがあります。
ただし、施工費用や使用するコーティング剤、対応できる床材などは業者によって異なります。
特に「ペット対応」とされるコーティングを検討する場合でも、滑りにくさだけで決めず、施工範囲や保証、耐久性、費用などを比較して選びましょう。
マットを敷かずに床全体の滑り対策をしたい場合は、ペットのいる家庭に対応したフロアコーティングも選択肢になります。
特に新築や築浅の持ち家なら、入居後にマットを敷き詰める方法だけでなく、床そのものを対策する方法も比較してみましょう。
「フロアコーティングの窓口」では、条件に合った施工業者へ一括で見積もりを依頼できます。施工方法や費用は住宅によって異なるため、まず相場を知りたい場合にも利用できます。
※賃貸住宅や築10年以上の物件など、サービスの対象外となる条件があります。申し込み前に対象条件を確認してください。
結局どの床対策を選べばいい?
迷ったら、住まいと使い方から考えてみましょう。

子犬を迎えたばかりなら、まず洗えるタイルマットから始めるのが手軽です。
廊下だけ滑るならロングマット、インテリアを変えたくないならワックス、持ち家で広範囲を長期的に対策したいならフロアコーティングも含めて比較すると選びやすくなります。

賃貸なら洗えるマット、持ち家で見た目を変えたくないならワックスやコーティングなど、住まいに合わせて選ぶと考えやすくなります。
床以外にもできる足腰への負担対策
床を滑りにくくしても、それだけですべての対策が終わるわけではありません。
足裏の状態や体重、室内の段差なども合わせて見直してみましょう。
足裏の毛と爪を定期的にお手入れする
肉球の間から毛が伸びていると、肉球が床に接地しにくくなり滑りやすくなります。
足裏の毛が伸びやすい犬は、定期的にカットして肉球が床につきやすい状態を保ちましょう。
爪も伸びすぎないよう、定期的なお手入れが必要です。
床材を変える前に、まず愛犬の足元を確認してみるのも大切です。
ソファやベッドからの飛び降りを減らす
高い場所からの飛び降りや激しいジャンプは、膝に大きな力がかかります。
特にソファやベッドへ頻繁に上り下りする犬なら、ペットステップやスロープを設置して段差を小さくする方法もあります。
ただし、ステップを置いても使わずに飛び降りてしまう犬もいます。愛犬の動きを見ながら、家具の配置を変えるなどの方法も考えてみましょう。
適正体重を維持する
体重が増えるほど、膝関節にかかる負担も大きくなります。
特にすでにパテラを指摘されている犬では、肥満を避けて適正体重を維持することが重要です。
ただし、「軽ければ軽いほどいい」という意味ではありません。
食事を極端に減らして筋肉まで落としてしまわないよう、愛犬の適正体重が分からない場合は動物病院で相談しましょう。
適度な運動で筋肉を維持する
パテラがあるからといって、すべての犬が運動禁止になるわけではありません。
体重管理や筋肉の維持という意味でも適度な運動は大切ですが、必要な運動量は犬の状態によって異なります。
特にパテラと診断されている犬では、ジャンプ、激しい方向転換、急に回転するような運動などは膝への負担となることがあります。
痛みや炎症があるときに無理に散歩させるのも避けましょう。
すでに診断を受けている場合は、「どのくらい散歩していいですか?」と主治医に確認して、その犬に合った運動量を決めることが大切です。
パテラと診断されたら
子犬を迎えるときに「健康診断でパテラのグレード1と言われました」と説明を受け、不安になることもあると思います。
軽度ではほとんど症状が見られない犬もいますが、今後どうなるかはネットの記事だけで判断できません。
また、体重管理や適切な運動、生活環境の改善などによる保存的な管理は、痛みや炎症を抑え、快適に生活するために行われますが、パテラの原因となっている骨格などの構造的な問題そのものを治す治療ではありません。
「成長すれば治るだろう」「筋肉をつければ治るだろう」と自己判断するのではなく、まずは動物病院でどのような状態と診断され、どのような生活をするよう指示されているのかを確認しましょう。
後ろ足を上げて歩く、スキップするような歩き方をする、足を痛がる、歩き方が以前と違うなどの変化がある場合は、床対策だけで様子を見ず動物病院へ相談してください。
その家に合った床対策を
フローリングそのものがパテラの直接的な原因とは限りません。
しかし、犬が実際に滑っている環境をそのままにしておく必要もありません。特にパテラを指摘されている犬では、滑りにくい生活環境を作ることが膝への負担を減らすための対策のひとつになります。
手軽に始めるなら洗えるタイルマット、部分的ならロングマット、部屋の見た目を残したいなら滑り止めワックス、新築や築浅の持ち家ならフロアコーティング。
大切なのは「これが一番」と決めることではなく、愛犬の動き方と住まいに合った方法を選ぶことです。
床を見直したら、足裏の毛や爪、体重、室内の段差なども一緒に確認してみましょう。
愛犬が家の中で滑らず、無理なく動ける環境を作ることが、毎日の暮らしの中でできる足腰への配慮につながります。
床環境を整えたら、毎日の散歩についても見直してみましょう。
散歩は運動だけでなく、犬にとって外の匂いや刺激に触れる時間でもあります。「歩きたがらない」「散歩を嫌がる」という場合は、無理に引っ張るのではなく、嫌がる理由から考えてみましょう。



