犬の去勢とは?ペットショップ店長が教えるメリットとデメリット

いぬのハナシ

ペットショップ店長、のあちです。

犬を迎えたときに「子供を産ませないなら去勢してくださいね」とスタッフから言われたことがある飼い主は多いと思います。

犬の去勢手術は、多くの飼い主が必ず一度は検討する重要な選択です。去勢には、病気のリスクを減らしたり、性格の安定を図ったりするメリットがある一方で、体への影響や性格変化といったデメリットも存在します。

今回は去勢手術(犬編)として、去勢手術はするべきなのか、そのメリットとデメリット、時期についてまとめてみます。メスの避妊手術、猫の去勢・避妊手術に関しては別記事にさせていただきます。

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去勢手術とは

オス犬の精巣を外科手術で取り除くことを去勢といいます。これにより、オス犬が繁殖能力を失うので、意図しない望まない繁殖を防ぐことができます。去勢をすることで、性ホルモンの影響が少なくなり、攻撃性やマーキング行動が減る傾向があります。

去勢手術は麻酔下で行われ、所要時間は通常30分から1時間程度。犬にとって安全な手術で傷も小さく1週間~10日ほどで抜糸が可能となりますが、麻酔を使うリスクもあるため、体調や年齢に応じて慎重に判断する必要があります。

精巣が陰嚢の中ではなく、お腹の中や皮下に留まってしまうことを停留睾丸と言いますが、正常な犬に比べて腫瘍が出来るリスクが10倍近く上昇すると言われています。これを去勢手術をすることで予防することができます。

ほとんどの場合、手術後は日帰りできます!

いつやればいいの?

去勢のタイミングは犬の年齢や成長具合、個体の性格によって異なりますが、一般的には生後6~10ヶ月頃が多くの獣医師から推奨されています。この時期は、犬が性成熟を迎える前後であり、ホルモンが影響する行動が現れ始める時期です。

性成熟する1歳頃になると、去勢をしていないオス犬は足をあげておしっこをするようになります。自身を大きく見せるために出来るだけ高い場所へおしっこをしようとします。これをマーキング行動と言います。また、基本的に常に発情している状態となるので、発情期のメスがいるとすぐに察知して寄っていきます。

オスの場合、年齢は特に関係なく、何歳になっても去勢手術をすることが可能です。しかし、マーキング行為やマウンティング行動(腰振り動作)をさせないために、それらを覚える前に去勢手術を済ませてしまうのが一般的となっています。

はやく去勢した方がいいってことね!

去勢することのメリットとデメリット

次に去勢手術をすることのメリットとデメリットをまとめてみます。

まずはメリットから♬

メリット

マーキング行為が減る

男性ホルモンの低下でマーキング行為(足をあげておしっこをする)が減る可能性があります。100%無くなると断言はできません。去勢手術をする前にマーキング行為を覚えてしまった犬がその行為を止める可能性は50%だと言われています。

発情によるストレスからの解放

性ホルモンの影響を抑えることで、興奮しやすい性格や攻撃性が和らぐことがあります。

ホルモンバランスの乱れから気性が荒くなったり、イライラした行動を取るため、飼い主の指示を聞かなくなったり、遠吠えや犬同士の喧嘩などが多くなります。このような発情によるストレスの状態から解放されます。

前立腺肥大症の予防

6~7歳以上の去勢をしていないオス犬に多く見られるのが前立腺肥大症です。男性ホルモンの影響で年齢が上がるとともに前立腺が大きくなっていきます。便や尿が出にくい、細い便が出る、血尿が出る、といった症状になります。

会陰ヘルニア発症の抑制

肛門周辺の筋力委縮によって隙間から膀胱や直腸などの臓器が飛び出してしまう病気です。飛び出してしまう部位によって症状は様々ですが、膀胱が飛び出してしまうと腎不全のリスクが増すため早期の対処が必要になります。

肛門周囲腺腫の予防

肛門の周辺に出来る腫瘍で痒みを伴います。良性と悪性がありますが、良性の場合でも出血や化膿、潰瘍化してしまう場合があります。

精巣腫瘍の予防

精巣腫瘍の発生はあまり多くはありません。ただ、停留睾丸のオスは正常の犬に比べて10倍近く腫瘍化してしまうリスクがありますが、去勢することでほぼゼロにできます。

無責任な繁殖の防止

意図しない繁殖を防ぐことで、捨て犬や保護犬が増えるのを防ぐことにつながります。

一番のメリットは病気を予防できる!ってことだね♬

デメリット

太りやすくなる

手術後のホルモンバランスの変化で代謝が下がるうえに食欲は増すため、同じ食事量を与えていると太りやすくなります。食事量やドッグフードを去勢避妊用に変更するなど、対処が必要です。

全身麻酔のリスク(麻酔アレルギー等)

稀ではありますが、全身麻酔の副作用で臓器や脳にアレルギー反応が起こり、アナフィラキシー状態になってしまうことがあります。パグやフレンチブルドッグなど短頭種は呼吸器系の問題が起こりやすいので注意が必要です。

縫合糸反応肉芽腫(お腹の中を縫う縫合糸に反応し炎症が起きる)

開腹手術をした後に縫合する糸がお腹の中に残り、それが原因で異物反応、炎症が起こります。理由は分かっていませんが、ミニチュアダックスフンドにこの異物反応が強く出るそうです。

手術の失敗

去勢手術自体は難しいものではありませんが、失敗はゼロではありません。ごく稀にずさんな縫合による感染症や手術器具の残留など医療ミスも報告されています。

メリットに比べてデメリットの方が少ないね!

犬診断(いぬのきもち)

まとめ

去勢手術に関しては否定的な意見もあるのはよくわかります。正直なところ、病気になるリスクはメスより低く、マーキング行為もゼロになるわけではないので、「絶対に去勢してください!」というわけではありません。去勢をするべきなのか、しない方がいいのか、それはいつの時代になっても問われるテーマだと思っています。

犬の去勢には、飼い主にとっても重要なメリットとデメリットが存在します。去勢により、精巣腫瘍や前立腺の病気リスクが軽減し、性格の安定やマーキング行動の減少といった効果が期待できます。一方で、麻酔や術後のケアにはリスクが伴い、ホルモンバランスの変化による肥満や活動性の低下も懸念されます。去勢は取り返しがつかないため、個体差を理解し、獣医師に相談したうえで慎重に判断することが大切です。

ただ一つだけ言えることは、去勢手術をすることで思わぬ事故(メス犬を妊娠させた、子犬を増やしてしまったなど)を防ぐことは出来るということです。望まぬ繁殖で不幸になる犬を増やさないためにも去勢手術をすることは大事なことかもしれません。

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