犬の去勢手術、本当にすべき?メリット・デメリットを現役店長が本音で解説!

いぬのハナシ
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ペットショップ店長、のあちです。

ワンちゃんをお迎えしたとき、スタッフから「将来は去勢してくださいね」と言われた経験がある飼い主さんは多いのではないでしょうか。

でも、いざ愛犬を目の前にすると、「元気な体にメスを入れるなんて…」「本当に必要なの?」と迷ってしまいますよね。

犬の去勢手術は、一生に一度の大きな選択です。 病気のリスクを減らしたり、性格を穏やかにしたりといった大きなメリットがある一方で、体への影響や麻酔のリスクといった、飼い主さんが避けて通れない不安も存在します。

今回は、現役店長の視点から「犬の去勢手術」について徹底解説します。「結局、するべきなの?」という疑問にお答えできるよう、メリット・デメリット、最適な時期、そして術後の注意点をまとめました。

※メスのワンちゃんの避妊手術、猫ちゃんの去勢・避妊については、また別記事で詳しくお伝えしますね。

去勢した犬

去勢手術とは?

そもそも去勢手術とは、オス犬の精巣を外科手術で取り除くことを指します。これにより繁殖能力がなくなるため、将来的な「望まない命」が増えるのを防ぐことができるのが大きな役割の一つです。

また、性ホルモン(テストステロン)の分泌が抑えられることで、オス特有の攻撃性が和らいだり、家の中での猛烈なマーキング行動が落ち着いたりと、ワンちゃん自身が「本能のイライラ」に振り回されず、穏やかに過ごせるようになるという側面もあります。

手術の時間は?当日の流れは?

手術自体は、麻酔をかけてから通常30分〜1時間程度で終わる、一般的に多く行われている処置です。朝に預けて夕方にお迎えという「日帰り」が可能な病院も増えています。

傷口も小さく、1週間から10日ほどで抜糸ができるようになります。最近では「鎮痛管理(痛み止め)」もしっかり行われるため、昔に比べて術後の痛みでぐったりする子は少なくなっていますので、その点は安心できます。

ただし、全身麻酔を使う以上、リスクはゼロではありません。体調や年齢、持病がないかを事前に獣医師さんとしっかり相談し、血液検査などで安全を確認してから臨むのがとても重要です。

停留睾丸には要注意

ここで、特にお伝えしたいのが「停留睾丸」についてです。

通常、精巣は成長とともに袋(陰嚢)の中に降りてきますが、お腹の中や足の付け根の皮膚の下に留まってしまう子がいます。

のあち店長
のあち店長

ココがポイント!

停留睾丸は、放っておくと非常に危険です。

本来は体の外にあるべき精巣が、温度の高い体内に留まり続けることで、正常な子に比べて腫瘍化するリスクが10倍近くになると言われています。

もし愛犬の精巣が降りてきていない場合は、単なる去勢ではなく、将来のガンを未然に防ぐための重要な治療としての意味合いが強くなります。

いつやればいいの?

去勢のタイミングは、ワンちゃんの体格や成長スピード、性格によっても異なりますが、一般的には生後6ヶ月〜10ヶ月頃を推奨する獣医師さんが多いです。その理由は以下の2つが挙げられます。

理由① 性成熟を迎える前だから

生後半年を過ぎる頃、ワンちゃんは「性成熟(大人の体への変化)」を迎えます。

この時期になると、オス犬は自分の強さを誇示するために足を高く上げておしっこをする「マーキング行動」を覚えたり、メス犬の匂いに敏感に反応して落ち着きがなくなったりし始めます。

理由② 「クセ」になる前に

店長として多くのワンちゃんを見てきて感じるのは、「行動がクセになる前に」という重要性です。

一度、足を上げておしっこをする行動や、マウンティング(腰振り動作)を覚えてしまうと、手術でホルモンを抑えても「習慣」としてその行動が残ってしまうケースが少なくありません。

「困った行動を未然に防ぐ」という意味では、まだ幼さが残る生後半年〜1歳未満での手術が一般的とされています。

成犬になってからの去勢は遅い?

「うちの子はもう3歳だけど、今からじゃ遅いかな?」 そんな相談もよくされますが、答えは「何歳からでも遅すぎることはありません」です。

確かに、マーキングなどの習慣を完全に無くすのは難しいかもしれませんが、シニア期に多い前立腺系や肛門系の病気を予防する効果は、成犬になってからの手術でも十分に期待できます。

のあち店長
のあち店長

ココがポイント!

時期を逃したからといって諦める必要はありません。

ただ、年齢が上がるほど体力や心臓への負担を考慮する必要が出てくるため、事前の健康診断がより重要になります。

去勢手術を決めたらまずこれ!

手術が決まったら、早い段階に準備しておきたいのがエリザベスカラーです。

病院で借りるプラスチック製は硬くて寝にくく、ストレスに感じる子が多いので、柔らかい布製を早めに用意して事前に慣れさせておくのが私のおすすめです。

去勢することのメリットとデメリット

メリット

去勢手術をすることで得られる恩恵は、大きく分けて「行動面」と「健康面」の2つがあります。

マーキング行為が減る

男性ホルモンが低下することで、家の中や散歩中の激しいマーキング(足を高く上げておしっこをする)が減る可能性があります。

ただ、店長として正直にお伝えすると、100%なくなるとは断言できません

去勢前に「足を上げるのが当たり前」というクセがついている場合、手術後に止める確率は50%程度。だからこそ、早めの去勢がおすすめなのです。

発情によるストレスからの解放

去勢していないオス犬は、いつでも恋をしていたい、いわゆる「恋愛体質」のような欲求と戦っている状態です。

遠くのメス犬の匂いを感じて興奮したり、他の犬に対して攻撃的になったりするのは、実はワンちゃんにとっても大きなストレスになります。

去勢手術をすることでホルモンバランスが安定し、穏やかで甘えん坊な性格になる子が多いです。

無責任な繁殖の防止

万が一の脱走やドッグランでの予期せぬトラブルなど、意図しない繁殖を防ぐことは、飼い主としての重要な責任です。

前立腺肥大症の予防

6~7歳以上の去勢をしていないオス犬に多く見られるのが前立腺肥大症です。

男性ホルモンの影響で年齢が上がるとともに前立腺が大きくなっていきます。便や尿が出にくい、細い便が出る、血尿が出る、といった症状が出る前に根本から予防できます。

会陰ヘルニア発症の抑制

肛門周辺の筋力委縮によって隙間から膀胱や直腸などの臓器が飛び出してしまう病気です。飛び出してしまう部位によって症状は様々ですが、膀胱が飛び出してしまうと腎不全のリスクが増すため早期の対処が必要になります。

男性ホルモンが深く関わっているため、去勢をすることで発症リスクを大幅に下げることができます。

肛門周囲腺腫の予防

肛門の周辺に出来る腫瘍で痒みを伴います。良性と悪性がありますが、良性の場合でも出血や化膿、潰瘍化してしまう場合があります。

精巣腫瘍の予防

精巣腫瘍の発生はあまり多くはありません。ただ、停留睾丸のオスは正常の犬に比べて10倍近く腫瘍化してしまうリスクがありますが、去勢することでほぼゼロにできます。

デメリット

メリットが多い去勢手術ですが、もちろん知っておくべき「リスク」も存在します。大切なのは、デメリットを知った上で、私たち飼い主がどうサポートしてあげられるかです。

太りやすくなる

手術後のワンちゃんは、基礎代謝が約20〜30%ほど低下すると言われています。

それなのに、食欲は今まで以上に増すワンちゃんがとても多いです。今までと同じ量をあげていると、あっという間に太ってしまいます。

肥満は関節や心臓への負担に直結するため、手術直後からの食事管理が非常に重要です。

全身麻酔のリスク(麻酔アレルギー等)

稀ではありますが、全身麻酔の副作用で臓器や脳にアレルギー反応が起こり、アナフィラキシー状態になってしまうことがあります。

しかし、現在の獣医療では事前の検査でリスクを徹底的に洗い出します。信頼できる獣医師さんとしっかり話し合い、万全の体制で臨むことが大切です。

縫合糸反応肉芽腫

体質によりますが、手術で使った糸に対して体が異物反応を起こし、炎症が起きてしまうことがあります。特にミニチュアダックスフンドに多く見られる症状です。

最近では、糸を使わない手術方法や、吸収される糸を使う病院も増えています。心配な方は事前に相談してみましょう。

性格の変化

男性ホルモンが減ることで、少し大人しくなったり、以前ほど激しく遊ばなくなったりする子もいます。

これを「落ち着いた」と捉えるか「元気がなくなった」と捉えるかは飼い主さん次第ですが、その分、家族への甘えん坊度が増すケースが多いです。

のあち店長
のあち店長

ココがポイント!

去勢後の肥満は、よくあるお悩みナンバーワンです。 でも、これは飼い主さんがコントロールできるものです。

カロリーを抑えたフードに変えたり、太り始めた時にすぐに気付いてあげたり。去勢をした後は、ワンちゃんの体調変化を今までより少しだけ詳しく観察してあげてください。

関節の健康維持サプリメント

去勢後に少しぽっちゃりしてきたかも…と思うこともよくあります。

体重が増えると足腰への負担が心配ですよね。将来の歩行をサポートするために、今からできる栄養ケアを始めましょう。

まとめ

去勢手術について、否定的な意見があるのも事実です。

メス犬に比べれば将来的な病気のリスクは低いですし、マーキング行為が必ずしもゼロになるわけでもありません。だからこそ、店長の私も「絶対に去勢してください!」と無理強いすることはありません。

去勢をするべきか、しない方がいいのか。それは愛犬の性格、飼い主さんの考え方によって答えが変わる、正解のないテーマだからです。

ただ、店長として一つだけ確信を持って言えることがあります。 去勢手術をすることで、「意図しない繁殖」や「本能による過度なストレス」といった、思わぬトラブルや事故から守ることができるということです。

去勢は一度行うと取り返しがつきません。だからこそ、メリットとデメリットを踏まえて、獣医師さんとしっかり相談して、飼い主さん自身が納得して選んであげてください。

どちらの道を選んだとしても、愛犬のことを一生懸命考えた結果であれば、それがその子にとっての「正解」になります。

もし手術を受けると決めたなら、術後のケアや体重管理という「新しい愛情」の形で、ワンちゃんをサポートしてあげてください。

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