現役ペットショップ店長、のあちです。
犬を飼いたいと思ったとき、「何を準備すればいい?」「毎月いくらかかる?」「留守番はできる?」など、気になることはたくさんあると思います。
もちろん、犬を迎えるためにはケージやトイレなどの準備も必要です。ただ、それらのグッズは後から揃えることもできます。
それよりも先に考えてほしいのが、「これから犬を飼う」と決められるかどうかです。
犬は病気になることもあれば、トイレを失敗することもあります。吠えたり、家具を噛んだり、思い通りにならなかったりすることもあるでしょう。
それも含めて犬との暮らしです。
この記事では、これから犬を迎えようと考えている人に向けて、飼う前に知っておきたいことを紹介します。

犬を飼う前に一番考えてほしいこと
犬を迎える前に必要なのは、完璧な飼育環境を作ることではありません。
もちろん、犬を飼える住宅なのか、日々のお世話ができるのかといった最低限の確認は必要です。しかし、すべてを完璧に準備してからでなければ犬を迎えられないわけでもありません。
大切なのは、「これからこの犬と暮らしていく」と決められるかどうかです。
犬との生活は楽しいことばかりではありません。病気になることもありますし、思った場所で排泄してくれないこともあります。
子犬なら、甘噛みやいたずら、夜鳴きなどに悩まされることもあるでしょう。
それでも、その犬と一緒に暮らしていく。
犬を飼う前には、まずその気持ちがあるかを考えてみてください。

ケージやトイレなどのグッズは後からでも準備できます。でも「犬を飼う」と決めることだけは、誰かに用意してもらうことはできません。
犬との暮らしは10年以上続く
犬を迎えると、その生活は何年も続きます。
アニコム「家庭どうぶつ白書2025」によると、犬の平均寿命は14.1歳。犬種や体格、健康状態などによって違いはありますが、子犬を迎えれば10年以上一緒に暮らすことも珍しくありません。
その間には、自分自身の生活も変化します。
仕事が変わるかもしれません。引っ越すこともあれば、結婚や出産などで家族構成が変わることもあります。
すべての未来を予測することはできません。
「今後14年間、生活が絶対に変わらない人しか飼ってはいけない」という話でもありません。
環境が変わったときにも、その都度犬との暮らしを考えていく必要があるということです。
犬を飼うと、思っている以上にお金がかかる
犬を迎えるときは、どうしても最初に支払う生体価格やケージなどの費用に目が向きがちです。
しかし、犬にかかるお金は迎えた後も続きます。
毎日のフードやトイレ用品だけでなく、ワクチンや予防、動物病院の診療費、ペット保険、シャンプーやトリミングなど、さまざまな費用が発生します。
特にトイプードルなど定期的なカットが必要な犬種では、トリミング代も継続的な支出になります。

アニコム損保がペット保険契約者を対象に実施した2025年の調査では、犬1頭にかけた年間支出は平均413,416円でした。
ただし、これはすべての飼い主が年間約41万円必要という意味ではありません。
犬種や体格、食事、トリミングの有無、病気やケガ、利用するサービスなどによって支出額は大きく変わります。
大切なのは「毎月フード代が払えるから大丈夫」と考えるのではなく、医療費など予定していなかった支出も発生することを知っておくことです。
犬は病気もケガもする
犬も人と同じように、病気になったりケガをしたりします。
健康な子犬を迎えたからといって、その後ずっと動物病院のお世話にならないとは限りません。
突然体調を崩して検査が必要になることもあれば、継続的な治療が必要になる可能性もあります。
そのため、毎月の飼育費だけではなく、突然の医療費についても考えておきましょう。
ペット保険も迎える前に考えておく
医療費への備えとして、ペット保険に加入する方法もあります。
ペット保険には商品によって補償割合や対象となる治療、保険料、加入できる年齢などに違いがあります。
「病気になってから考えよう」では加入条件に合わなくなる場合もあるため、加入するかどうかも含めて犬が健康なうちに確認しておくとよいでしょう。
ペット保険は商品によって補償内容や対象外となる治療・条件が異なります。加入する場合は、保険料だけでなく補償内容や免責事項なども確認しましょう。
ワクチンや狂犬病予防注射も必要になる
犬を飼い始めると、動物病院へ行くのは病気になったときだけではありません。
感染症を予防するためのワクチンや各種予防についても考える必要があります。
混合ワクチンについては犬の年齢や生活環境などによって適切な接種内容が異なるため、かかりつけの動物病院で相談しましょう。
また、日本では狂犬病予防法により、犬の登録と年1回の狂犬病予防注射などが飼い主に義務付けられています。
こうした費用も、犬と暮らしていくために必要になるお金として考えておきましょう。
トイレ・吠え・甘噛みで困ることもある
犬を迎えてから「思っていたより大変」と感じやすいもののひとつが、日常生活で起こる問題です。
特に子犬では、トイレ、吠え、甘噛みなどに悩むことがあります。
最初から決められた場所で完璧に排泄できるとは限りません。
トイレを失敗して床やカーペットを汚すこともありますし、家具を噛んだり、人の手や服に甘噛みしたりすることもあります。
吠える理由も、要求、不安、警戒、興奮などさまざまです。
「うちに来た犬だけがおかしい」と考えるのではなく、犬の成長や性格、生活環境に合わせて少しずつ教えていきましょう。


一人暮らしや共働きなら留守番時間も考える
一人暮らしだから犬を飼えない、共働きだから犬を飼えない、というわけではありません。
ただし、日中に家を空ける時間が長い場合は、犬がどのくらい留守番することになるのか考えておく必要があります。
特に迎えたばかりの子犬では、食事や排泄のお世話が必要になります。
成犬になれば生活リズムも変わってきますが、「朝出勤して夜帰るから、それまで犬は何もしなくていい」と考えるのは現実的ではありません。
自分の生活リズムと犬のお世話をどう両立するか、お迎え前にイメージしてみましょう。
「誰が世話をするか」を曖昧にしない
家族で犬を迎える場合、「子どもが欲しがっているから」というケースもあるでしょう。
子どもが食事を用意したり、一緒に散歩したりすること自体は、犬との大切な関わりになります。
ただし、犬の飼育を子どもだけに任せることを前提にするのはおすすめできません。
学校や部活動が始まったり、進学したりすれば生活も変わります。最初は毎日世話をしていても、何年も同じ生活が続くとは限りません。
最終的には大人が飼育を担えることを前提に、家族で役割を考えておきましょう。
犬種だけではなく「その子」も見て決める
「トイプードルが欲しい」「柴犬を飼いたい」など、好きな犬種から犬を探すのは自然なことです。
犬種によって体格や被毛、お手入れの方法などに違いがあるため、犬種の特徴を知ることにも意味があります。
一方で、同じ犬種だからといって性格まで全員同じではありません。
活発な子もいれば比較的おとなしい子もいますし、人への反応にも個体差があります。
犬種の特徴を参考にしながら、実際にその犬を見たときの性格や様子も含めて考えてみましょう。

犬種から探したくなる気持ちは自然です。
ただ、最後は「この犬と暮らしたいか」も大切にしてみてください。
その日に犬を決めるのはダメ?
ペットショップで犬を見て、「この子を連れて帰りたい」とその場で思うこともあります。
必ず何日も考えなければいけないわけではありません。
以前から犬を飼うことを考えていて、生活環境や費用について理解したうえで出会った犬なら、その日に決めることもあるでしょう。
一方で、家族への相談ができていなかったり、費用や飼育環境について迷いが残っていたりするなら、一度帰って考えることも大切です。
「今日決めないと誰かに迎えられてしまうかもしれない」という気持ちだけで、迷いを押し切る必要はありません。
犬との暮らしは、お迎えした日で終わるのではなく、そこから始まります。
犬を飼う前に完璧でなくてもいい
ここまで読むと、「犬を飼うって大変そう」と感じるかもしれません。
実際、大変なことはあります。
お金もかかりますし、病気になることもあります。トイレを失敗することも、吠えることも、言うことを聞いてくれないこともあります。
だからといって、犬を飼うためにすべての問題を事前に解決しておく必要はありません。
分からないことがあれば、そのときに調べたり、動物病院や専門家に相談したりしながら暮らしていくこともできます。
大切なのは、かわいい瞬間だけではなく、うまくいかないときも含めて「この犬を飼う」と決められることです。
その気持ちが決まったら、次は実際に犬を迎える準備を始めましょう。
犬を迎えると決めたら必要なものを準備しよう
犬を迎えることが決まったら、お迎え当日までに最低限必要なものを揃えます。
ケージやサークル、トイレ、食器や給水器、フードなど、初日から必要になるものもあります。
何でも高価なものを揃えればよいわけではありません。
犬の大きさや月齢、住んでいる家に合わせて必要なものを選びましょう。
犬を迎えることが決まったら、次はお迎え準備です。
「何を買えばいいの?」と迷わないよう、子犬を迎える初日から必要なものと、後からでも用意できるものを分けて確認しておきましょう。

まとめ
犬を飼う前に、何もかも完璧に準備する必要はありません。
ただし、犬は迎えて終わりではありません。
毎日の食事や排泄のお世話があり、お金もかかります。病気やケガをすることもあれば、トイレや吠え、甘噛みに悩むこともあるでしょう。
犬との暮らしが想像していた通りにならないこともあります。
それでも一緒に暮らしていく。
犬を迎える前に一番考えてほしいのは、たくさんの条件をクリアできているかではなく、その気持ちがあるかどうかです。
そして「飼う」と決めたなら、必要なことをひとつずつ準備していきましょう。
