子犬のケージは「かわいそう」じゃない!必要な5つの理由

いぬのハナシ

現役のペットショップ店長、のあちです。

子犬を家族に迎えたとき、ほとんどの飼い主さんが「ケージやサークルを使いましょう」とペットショップで言われた経験があるかと思います。

ケージを直訳すると「檻」です。

「こんな狭いところに閉じ込めて、うちの子は可哀想じゃないかな?」と、不安に思ってしまう気持ち、よく分かります。

たしかに、広々としたリビングを自由に動き回らせてあげたいのが飼い主心ですよね。しかし、犬の習性や安全、そして将来のしつけを考えると、実はケージは「可哀想な場所」どころか、「安心できる最高に大切な空間」なんです。

今回は、ケージ(サークル)が必要な理由を、安全性の確保から安心感と安眠の提供、トイレトレーニングに至るまで、5つの視点から店長が徹底解説します。

ぜひ、ケージに対する誤解を解消して、愛犬にとって快適な「自分だけの部屋」を作ってあげてください。

ケージが必要な5つの理由

1.安全

ケージが必要な理由の中で、私が最も重要だと考えているのがこの「安全性の確保」です。

特に子犬は、好奇心が旺盛で、目についたものは何でも口に入れて確かめようとする習性があります。私たち人間の目線からは何でもない家の中も、子犬にとっては危険が溢れた環境なのです。

家の中の3つの大きな危険

部屋全体を自由に動ける状態だと、以下のような命に関わる事故のリスクが格段に高まります。

誤飲・窒息のリスク

床に落ちた硬貨やボタン、小さな子どものおもちゃ、あるいは靴下の切れ端などを誤飲し、腸閉塞や窒息を引き起こすケースも非常に多いです。

感電・火傷のリスク

コンセントや電源コードを噛んでしまい、感電したり、火傷を負ったりする事故は後を絶ちません。最悪の場合、心臓が止まってしまうこともあります。

中毒のリスク

観葉植物(犬にとって毒性があるものが多いです)、洗剤、タバコの吸い殻、人間の薬などが手の届く場所にあり、舐めたり食べたりしてしまう危険があります。

ケージが果たす役割

普段からケージ内(またはサークル内)で生活してもらうことで、これらの危険物から物理的に隔離でき、子犬が安全に過ごせる空間を確保できます。

留守番中や夜間、来客中で子犬から一時的に目を離さざるを得ない時間帯でも、安心して見守ることができるでしょう。

のあち店長
のあち店長

ココがポイント!

誤飲事故は本当に多いです。

子犬を家族に迎えたら、まず「犬の目線になって部屋を見渡す」ことから始め、ケージという安全なお城を最初に作ってあげてくださいね!

2.安心・安眠

「狭いところに閉じ込めて可哀想」というイメージは、私たち人間目線の考え方です。

実は、ケージやサークルは、犬にとって心身を休めるために欠かせない「自分だけの巣穴(ねぐら)」の代わりになります。

犬の祖先であるオオカミは、外敵から身を守り、安全に子育てをするために、狭くて暗い巣穴を利用していました。この習性は現代の犬にも色濃く残っています。

安全確保

狭い空間は、四方を囲まれ、外部からの刺激(音、動き)が制限されるため、犬は「ここでは誰も自分を襲ってこない」と本能的に認識し、強い安心感を得られます。

休息と回復

子犬は1日に18時間〜20時間近くの睡眠が必要です。この大切な休息の時間を、誰にも邪魔されずに質の高い安眠を確保するために、ケージという自分だけの空間が不可欠です。

リビングの真ん中などで開放的に寝ていると、家族の動きや生活音、来客などにすぐに反応してしまい、深く眠ることができません。

のあち店長
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ココがポイント!

ケージを単なる「檻」ではなく、愛犬にとって「居心地の良い巣穴」だと認識させるのが、飼い主の大切な役割です。

まず、ケージの中を愛犬が安心できるベッドや毛布、お気に入りのタオルなどで快適な寝床に工夫してあげましょう。さらに重要なのは、ケージに入った時だけ特別なご褒美(フードや長持ちするおやつ)を与え、「ケージの中が良いことがある場所」という連想記憶を早期に作ってあげることです。

3.ストレスをなくす

子犬が家に来て間もない頃は、新しい環境に慣れるだけでかなりのエネルギーを使っています。

しかし、部屋全体を自由に移動できる状態にしてしまうと、愛犬は無意識のうちに大きなストレスを感じてしまうことがあります。

犬はもともと縄張り意識が強い動物です。普段生活している場所が広ければ広いほど、「ここを全部、自分のテリトリーとして守らなければならない」という意識が働きます。

常に周囲の音や動きに注意を払い、警戒態勢をとってしまうため、四六時中神経を使い、結果的に精神的に疲れてしまうのです。

のあち店長
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ココがポイント!

この「テリトリーを限定させること」は、将来的な分離不安の予防にも繋がります。

「飼い主さんがいなくても、ケージという自分のテリトリーの中は安全で安心だ」という経験を重ねることで、愛犬は留守番中でも落ち着いて過ごせるようになります。

4.トイレトレーニング

子犬を迎えた飼い主さんが最初にぶつかる壁の一つが、トイレトレーニングではないでしょうか。ケージやサークルは、このトイレの学習を効率的かつスムーズに成功させるために不可欠です。

トイレトレーニング成功の鍵は、犬に元々備わっている「自分の巣穴(寝床)を汚したくない」という本能的な習性を上手に利用することです。

ケージ内は愛犬が休む寝床エリアと、トイレシーツを敷いたトイレエリアを分けた空間を用意してあげましょう。「寝床の近くで排泄するわけにはいかない」と考え、自然とトイレエリアで排泄する機会が圧倒的に増えます。

空間が広すぎると、愛犬は寝床から遠ければどこでも良いと適当に排泄してしまいます。

のあち店長
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5.問題行動の抑止(無駄吠え)

犬を飼う際に多い悩みが「無駄吠え」です。特に、インターホンや通行人、外部の音に対して吠えてしまうというケースにケージが非常に有効になります。

犬は自分の生活空間全体を「テリトリー(縄張り)」だと認識します。部屋全体を自由にしてしまうと、愛犬は窓や玄関までをテリトリーと見なし、その外を通る人や音を「縄張りへの侵入者」だと判断し、防衛のために吠えるようになります。

一度吠え癖がついてしまうと、インターホンの音や外の気配といった外部刺激が、愛犬にとって悪い連想記憶として定着してしまいます。

これを防ぐために、ケージの中で過ごしてもらうことは非常に有効です。ケージによって生活するテリトリーを限定し、窓際や玄関へのアクセスを物理的に遮断することで、愛犬は「外のことは自分の守る範囲外」と認識して無駄吠えをしなくなります。

のあち店長
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ココがポイント!

無駄吠え対策としてケージを使う際は、さらにひと工夫加えてみましょう。

まず、ケージを布やカバーなどで覆うことをおすすめします。外からの視覚的な刺激(通行人や光の動きなど)は犬の興奮を誘発する大きな原因になります。

そして、インターホンが鳴ったり、外で大きな音がしたりした際に、愛犬がケージ内で静かにしていたら、その瞬間だけ褒めてご褒美をあげましょう。「静かにしている=良いことがある」という良い連想記憶を上書きしていくことが、無駄吠え改善への最短ルートです。

ずっと必要というわけではない

ケージを卒業するタイミングはいつ?

ケージが必要な理由をしっかり理解していただけたかと思います。次に浮かぶのは、「では、いつまでケージ中心の生活を続ければいいの?」という疑問でしょう。

正直にお伝えすると、ここは人によって、また犬の個性や住環境によっても意見が分かれる部分です。欧米では「ケージは悪だ」という風潮があるのも事実で、日本ほど厳密なケージ文化はありません。

のあち店長
のあち店長

個人的な意見を言わせて!

ケージを撤去したり、メインの生活場所から外したりするタイミングは、愛犬の「しつけの完成度」によって決めるべきだと私は考えます。

  • トイレトレーニングが100%成功しているか
  • 無駄吠えをせず、静かに過ごせるか
  • 家具やコードのいたずらを完全にしなくなった

これらがクリアできていれば、成犬になってから徐々にケージ中心ではない生活を目指しても良いでしょう。

欧米と違い、日本はマンションや集合住宅が多く、壁一枚の向こうに他人が住む隣の家があります。

しつけが不完全な状態でケージを完全に撤去してしまうと、テリトリーが広がり、無駄吠えが再発し、近隣トラブルに繋がるリスクがあります。

また、留守番中にリビング全体で自由にさせていると、家具の破壊などの分離不安による問題行動が起こるリスクもあります。

そのため、ケージを撤去する前に、まずはケージの扉を開放した状態で生活させてみて、愛犬が家全体で落ち着いて過ごせるかどうかを入念にチェックすることをおすすめします。

使わなくなったケージ、捨てるのはもったいない

成犬になり、ケージ中心の生活から卒業したとしても、決してケージを捨ててしまうようなことはしないでください。

ケージは、普段の生活だけでなく、以下のような予期せぬ緊急事態において、愛犬のストレスを最小限に抑える役割を果たします。

災害時の避難生活

地震や水害などで避難所へ移動した場合、愛犬はケージやキャリーの中で長時間過ごすことになります。

普段からケージ慣れしていないと、環境の変化と狭い空間への恐怖が重なり、パニックを起こしたり、吠え続けたりして、愛犬自身にも周囲にも大きな負担がかかります。

ペットホテルや動物病院での入院

旅行などでペットホテルに預ける際や、病気や怪我で動物病院に入院する際も、必ずケージや入院室で過ごします。普段から安心できる場所だと認識できていれば、環境が変わっても落ち着いて過ごすことができます。

のあち店長
のあち店長

ココがポイント!

ケージ中心の生活ではなくなっても、いざという時のために「ケージに入る習慣」だけは続けておくべきです。

遊びや散歩の終わりに、「ハウス!」の指示でケージに入ってもらい、短い時間でも特別なご褒美を与える習慣を続けたり、普段からケージの扉を開け放し、愛犬がいつでも自由に出入りできる状態にしておくのもおすすめです。

まとめ

いかがでしたか?

「ケージはかわいそう」という誤解が解消され、「愛犬の安全を守る場所」だと理解していただけたなら嬉しいです。

ケージは、子犬の時期の誤飲事故を防ぐ「安全地帯」であると同時に、無駄吠えやトイレのしつけを効率的に進めるための強力なツールでもあります。そして何より、愛犬にとっては心身を休ませるための「自分だけの巣穴」です。

大切なのは、ケージを罰として使うのではなく、「入ると良いことがある」と教えて、愛犬にポジティブな連想記憶を作ってあげることです。

 

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